学生を呼ぼう!過疎地を救うプロジェクト 休業中の宿泊施設が「合宿所」として復活へ 廃校予定の小学校も活用=浜松

休業中の宿泊施設を合宿場に。浜松市の山間の地域で新たなプロジェクトが今、進行中です。このプロジェクトには、観光資源に乏しい過疎地域を復活させるためのヒントが隠されています。

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<清水英之記者>
「井邉さん、電車が通ってますね。いい景色ですね。」

<Kashu 井邉志久執行役員>
「眺めはいいですけどね。何もございません」

<清水英之記者>
「何もないですか?」

<Kashu 井邉志久執行役員>
「正直言って何もございません」

浜松市天竜区佐久間町の浦川地区。住民が自虐的に話すように、このエリアには名の知れた観光施設がありません。この過疎地を救うためのプロジェクトがスタートしています。

浦川地区にある宿泊施設「清流荘」。1981年、旧佐久間町時代に町おこしの一環として建てられましたが、年々利用客が減少し、2015年から休業中になっています。この施設を市から借り受け、地元の人たちの手で復活させようというのです。

<清水英之記者>
「観光資源が乏しい地域で宿泊施設をするのはリスクが高いと思われますが、戦略を教えてください」

<Kashu 夏目憲秀社長>
「合宿に特化したいものですから、部活動をですね。スポーツ、音楽美術とかですね。合宿としてやっていける施設にしたいと思ってます」

観光客をターゲットにすると、夏場は川遊びなどで何とかなるものの、冬場は経営は成り立たないことが懸念されていました。しかし、学生の部活動を呼び込むことで冬場でもニーズが生まれると夏目さんは睨んでいます。

部活に注目した理由の一つが、今は有効活用されていない市のスポーツ施設の存在です。

<清水英之記者>
「野球のピッチャーのマウンド付近です。本来はここは土なんですけれども、一面雑草に覆われてしまっていて、長年使われていないのがよくわかります」

運動公園は、宿泊施設から車で5分ほどの場所にあり、ちゃんと整備すれば合宿のメイングラウンドに最適です。

再来年に廃校になる予定の浦川小学校も活用したい考えです。

<Kashu 夏目憲秀社長>
「校舎は使い道ありますし、体育館とかグラウンドも余っちゃっている。遊んじゃうものですから、使わないとどんどん古くなっちゃいますので」

食事にもこだわりが。育ち盛りの若いスポーツマンの体作りをサポートできる自慢の料理を並べていく予定です。地元の人たちがメニューに取り入れたいのがこのエリアで採れる自然薯。若い人たちに特産品をPRしたいと考えています。

<Kashu 井邉志久執行役員>
「都会では食べれない本当に田舎の食べ物ですけど、ほとんど自然のものですので、浦川に来て食べていただきたい」

2024年のゴールデンウィークに本格的にオープンしたいと現場では急ピッチで改修作業が進んでいます。

<清水英之記者>
「ここは何を使う予定ですか?」

<Kashu 井邉志久執行役員>
「今、社長の考えでは、スポーツのトレーニング器具を置いて、ちょっとジムのような形に、あくまでも合宿所ですかね」

施設の解体に費用をかけたくない行政側と安い料金で施設を活用したい地元側の思惑が一致したプロジェクト。成功すれば、過疎地域にとって、1つの見本となりそうです。

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