【マレーシア】IHI、国営石油とアンモニア専焼発電事業[資源]

IHI製アンモニア専焼2,000キロワット級ガスタービン「IM270」(IHI提供)

IHIは18日、マレーシアの国営石油ペトロナスのクリーンエネルギー事業子会社ジェンタリの完全子会社ジェンタリ・ハイドロジェンと、アンモニア専焼ガスタービンを活用した商用発電の実現に向け基本合意を締結したと発表した。

IHIが開発するアンモニア専焼ガスタービンを使用し、燃料の全てをアンモニアとする世界初の商用発電事業の達成を目指す。燃料にアンモニアだけを使用することで、二酸化炭素(CO2)を発生しない発電を実現する。

アンモニア専焼ガスタービンの商用運転は2026年度上半期(4~9月)の開始を予定する。同ガスタービンを利用した商用発電事業の実現により、IHIがこれまで技術開発・実証を進めてきたアンモニアの燃料利用技術が、商用段階に進む。

また、IHIとジェンタリは、太陽光や風力などの再生可能エネルギーに由来するグリーンアンモニア製造から、その貯蔵、輸送、利活用までを一貫した「アンモニアバリューチェーン」の構築に向け、アジア大洋州を中心に協業検討を進めることに合意した。

IHIは昨年1月から、国立研究開発法人、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション基金事業の一環として、「燃料アンモニアサプライチェーンの構築プロジェクト」に着手。同基金の支援を受け、ガスタービンの開発を進めている。

IHIは、本事業を通じて、マレーシア政府が50年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにする「ネットゼロ」達成に向けて今年始動した「国家エネルギー移行ロードマップ(行程表、NETR)」や「水素経済・技術ロードマップ(HETR)」に貢献すると説明。

「アンモニア専焼ガスタービンの商用利用は、燃料アンモニア利用のロールモデルとして、マレーシアやアジア大洋州での展開が期待される」と述べた。

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