ワンストップ特例が使えないことも。ふるさと納税で確定申告が必要になる5つのケース

ふるさと納税は、自分の応援したい自治体に寄附をすることで、返礼品などが受け取れ、寄附金額については年収や家族構成により上限は変わりますが、所得税および住民税から控除を受けられることから、利用する人が増えています。

ふるさと納税を行った場合、原則として確定申告を行う必要がありますが、一定の要件を満たせば「ワンストップ特例」が利用でき、確定申告の手間を省くことができます。

今回はふるさと納税のワンストップ特例を利用できる要件と、ワンストップ特例が利用できず確定申告が必要になるケースについて解説します。合わせて確定申告のやり方についても紹介しますので、参考にしてください。


ふるさと納税のワンストップ特例とは?

ふるさと納税を行った際には、寄附した金額から自己負担分である2000円を引いた部分について寄附金控除の対象となり、控除の適用を受けるには確定申告を行う必要があります。
ただし、以下の要件を満たす場合には、ワンストップ特例が利用でき、確定申告を行わなくても控除が受けられます。

ワンストップ特例を受けられる要件は、以下の全てを満たす人です。

・確定申告の必要がない給与所得者であること

・寄附した先の自治体の数が5つ以内であること

同じ自治体に複数回寄附したとしても、それは1つの自治体とみなされます。また、ワンストップ特例を利用するにあたっては、寄附の都度、寄付先の自治体に「寄附金税額控除に
係る申告特例申請書」を送付する必要があります。

ワンストップ特例が使えないケース

では、ワンストップ特例が使えないケースとはどのような状況なのでしょうか。

●寄附先の自治体の数が5つ以上になってしまった
最終的に1年間(1月1日~12月31日)の寄付先の自治体の数が5つ以上になってしまった場合には、ワンストップ特例は受けられません。それまで全ての寄附のタイミングで「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」を提出していたとしても、確定申告を行わなければならなくなります。

その際、それまでに提出した「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」は、確定申告を行った時点で無効になります。

●医療費控除の適用を受ける
医療費控除とは、生計を一つにする家族や親族の1年間の医療費が10万円を超えた場合、超えた部分について所得控除が受けられる制度です。

医療費控除の適用を受けるには、確定申告で行わなければならず、ワンストップ特例の適用要件である「確定申告が不要の給与所得者」を満たしません。

そのため、ふるさと納税についても確定申告を行わなければなりません。

●ワンストップ特例の提出期限に間に合わなかった
うえでも説明したとおり、ワンストップ特例を利用するには寄附の都度「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」を寄附先の自治体に送付しなければなりません。

また、送付には申請書と合わせてマイナンバーカードなど、本人が確認できる書類も必要です。

さらに、ワンストップ特例には提出期限が設けられており、寄附した翌年の1月10日までです。年末ギリギリに寄附をしたり、送付した申請書や必要書類に不備があったりなどで受け付けてもらえなかった場合は、ワンストップ特例を利用できず、確定申告を行わなければなりません。

●住宅ローン控除適用の1年目
住宅を購入するにあたり、住宅ローンを利用した人に対して、一定の要件を満たす場合には住宅ローン控除が用意されています。そして、住宅ローン控除の適用を受けるにあたり、1年目は必ず確定申告で行わなければなりません。なぜなら、1年目は登記簿謄本など申告に必要な書類が多いからです。

そのため、住宅ローン控除の適用を受ける最初の年は、必ず確定申告を行わなければならないため、ワンストップ特例は利用できません。

●副業を行っている
最近では副業が認められ、本来の給与所得以外の所得がある人も多いのではないでしょうか。副業で得た所得は主に雑所得として収入から経費を引いた額が所得金額になりますが、給与所得以外の所得がある以上、確定申告を行わなければならず、ワンストップ特例の対象にはなりません。

一般的に副業で得た収入が20万円を超えなければ確定申告の必要はないといわれていますが、それは所得税の申告のことで、住民税についての申告は住んでいる自治体に対して行わなければならないことを覚えておきましょう。

ふるさと納税を確定申告で行う方法

確定申告は原則として翌年の2月16日~3月15日までです。その間に、確定申告書を必要書類と合わせて、居住地を管轄する税務署に提出しなければなりません。

提出方法は、直接税務署に持参する方法や郵送する方法のほか、e-Taxでも可能です。e-Taxだと平日に時間がない人にも便利ですので、ぜひ活用してみましょう。

●ふるさと納税を確定申告で行う際に必要な書類
ふるさと納税を確定申告で行う際には、以下の書類を用意します。

・確定申告書

・自治体から受け取った「寄附金受領証明書」

・源泉徴収票

・マイナンバーカードもしくはマイナンバーが分かるもの

確定申告書の作成は、国税庁の公式サイトに用意されている「確定申告書作成コーナー」を利用すると便利です。

寄附金受領証明書をなくしてしまった場合は、自治体に再発行を依頼しなければなりません。再発行に時間がかかることも予想されますので、早めに依頼しておきましょう。

ワンストップ特例と確定申告での控除の違いに注意!

ワンストップ特例では、控除額は全て住民税額から控除されますが、確定申告の場合、まず所得税額からの還付、そして住民税額からの控除という流れになります。控除の額はどちらの方法を取っても同じですが、確定申告を行うことによって2段階での控除になる点に注意しておきましょう。

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