文武両道ひた走る 24日、全国高校駅伝女子 初出場の富山中部

練習に励む富山中部の選手=富山市芝園町

  ●医学部受験生、志願の出場

 富山県内有数の進学校である富山中部高の女子陸上部が、24日に京都市で開かれる全国高校駅伝競走大会に向け、「文武両道」をひた走っている。県大会で31連覇していた富山商を破り、初めて都大路への切符をつかんだ部員たちは、進学校で部活と両立して勉学に励む。志願して引退を延ばした3年生は医学部受験と大舞台のレース出場の二つの夢を追い、その姿勢がチームの大きな支えとなっている。

  ●朝夕練習、通学電車で勉強

 唯一の3年である佐伯紅南(くれな)選手は小学生のときからテレビで大会を見て憧れていたが「都大路を走る人ってどんな人だろう」と、自身とは無縁なものと割り切っていた。意識が変わったのは今春。1年部員が入り、「このメンバーなら頑張ったら行けると目標になった」と確信した。

 例年3年生の大半はインターハイを区切りに引退するが、佐伯選手は「好きな仲間と長く一緒に走りたい」と続行を決めた。

 自宅は小矢部市で、富大附属中1年時から午前5時起床の生活を続けている。「行儀が悪いんですけど、勉強しながらご飯を食べてます」とはにかみながら日常を紹介。通学の電車内で翌日の授業準備や大学入学共通テストの演習を進め、帰宅後には勉強とストレッチにも気を抜かない。

  ●努力で記録伸びる

 「長距離は走り終わった後の爽快感と、後天的に伸びていくところが好き」と、勉強と同様、努力次第で記録を縮められる魅力を語る。

 大学受験では医学部を志望し「浪人覚悟で受けようと思う」と進路への決意をにじませる。都大路の本番では「走りに関わってくれた全ての方に感謝を伝えられるよう、記憶に残るレースにしたい」と意欲をみなぎらせている。

 そんな3年生の姿に、水原豊監督は「頼りになる先輩がいて、安心感がある」とチームの支えになっていることを強調する。

 12月に入り、部員が1週間あたりに走る距離は50キロ強。短時間で効率良くトレーニングを重ねる。朝練習で長めの距離を走り、放課後は1000メートルを5本、400メートルを10本など短い距離でスピードを生かす練習に取り組む。

 大会に向け、各自で昨年大会の中継映像を研究。主将の柴田美冴(みさえ)選手(2年)は「2区の曲がり角は、試走をよくしている京都の立命館宇治がきれいに走っていて参考になる」と分析した。

  ●夢の都大路、幸せ

 県大会の記録は1時間17分0秒。都大路では1人ずつタイムを縮め1時間14分台、40位を目指す。柴田選手は、予習復習や課題をこなす一方、疲労回復のため睡眠も十分に取ることが大変としながら、「入学した時から、みんなと都大路を走るのが夢だった。つかみとれたのは幸せ」とかみしめた。

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