長崎総科大 博士課程無料、修士課程も8割減免 理工系人材を育成

「優秀な人材を育成したい」と学費の無料化の狙いを語る黒川学長(右)=長崎市、長崎総合科学大

 長崎総合科学大(長崎市網場町)は20日、大学院博士課程の授業料など学納金全額を無料にする取り組みを10月から始めたと発表した。修士課程も約8割減免する。国内では理工系人材が不足しているとされ、高度な技術者の育成が目的。ほぼ全員が対象になる見込みで、同大によると、全国でも先駆的な取り組みという。
 同大によると、大学院への進学希望者は多いものの、経済的な理由で諦めるケースが多いという。同日会見した黒川不二雄学長は「学内で議論を重ね、学費の減免が最も有効という結論になった」と述べた。
 これまで修士課程(定員30人)は入学金12万円、年間の授業料50万円、実験実習料16万円、教育充実費20万円(2年計184万円)、博士課程(同3人)は入学金12万円、年間の授業料40万円、実験実習料16万円(3年計180万円)が必要だった。今回の支援で教育充実費以外の全額が無料になる。減免分の5割を国の補助金で賄う。
 減免の条件は主たる家計支持者の前年の源泉徴収票の支払額が841万円以下など。新入学生のほか、在学生も来年4月から対象となる。黒川学長は「ほとんどが対象になるのではないか」としている。
 このほか、2025年度の入試から大学2学部に計8人の女性枠を設けることも公表。理工系の女性人材育成も課題とされ、長崎大も同年度から工学部などに女性枠を設ける。
 黒川学長は「長崎を元気にするために大学ができることは優秀な人材の輩出だ。学生が県内に就職できるように企業誘致も自治体に協力したい」と語った。

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