無報告マグロ、新たに30トン超 青森県が再調査 2021年度の違反計90トン超に

 大間漁協などに所属する漁業者がクロマグロ漁獲量の一部を報告していなかった問題で、青森県が2021年度の違反数量を再調査した結果、新たに30トン超が判明し、違反の総量が90トン超に上ることが21日、複数の関係者への取材で分かった。県が22年8月に公表した数量は約60トンだった。県は今後、新たな判明分の漁獲枠を国に返還する方針。

 この問題では、大間町の水産物卸売会社2社が漁業法違反罪に問われ、今年7月、両社の社長を懲役4月、執行猶予3年とする青森地裁判決が確定。2社にマグロを売った大間、奥戸(大間町)、大畑(むつ市)の3漁協の漁業者22人と漁業関係法人1社も、漁業法違反の罪で罰金20万~10万円の略式命令を受けた。

 ただ、県警が立件を見込んだ無報告のマグロは約98トン、地裁判決が認定したのは約74トンで、県の調査と大きな差があった。

 このため県は判決確定後、再調査に着手。2社のマグロの出荷量を精査するなどしたところ、新たな無報告マグロを加えた違反数量が90トン超となることが裏付けられたという。

 国は漁業法に基づき、都道府県ごとにマグロの漁獲枠を設定し、漁業者に漁獲量の報告を義務づけている。超過があった場合、その分の漁獲枠を国に返還する必要がある。青森県は新たに30トン超の漁獲枠を返還する必要があるとみられる。

 県は近く調査結果を発表する方針。山中崇裕・水産局長は21日の取材に「発表時期は現在調整中」と話し、詳細には言及しなかった。県は19、20年度分の漁獲でも無報告のマグロがあったとみて調べている。

© 株式会社東奥日報社