五輪チャンネル楓奈密着 IOC公式、世界に発信 富山の風景、教室撮影

米国撮影チームによる密着取材を受ける中山選手=富山市内

  ●スケボー日本勢で唯一 富山の風景、教室撮影

 スケートボード・ストリート女子で東京五輪銅メダリストの中山楓奈選手(龍谷富山高3年、ムラサキスポーツ)が国際オリンピック委員会(IOC)の公式インターネットテレビ「五輪チャンネル」の密着取材を受けている。21日は富山市内でインタビューを受け、来夏のパリ五輪出場を目指す中山選手は「頑張ります。練習でもいつも以上に集中できている」と世界の期待を力に変えている。

 五輪チャンネルは五輪関連の話題を24時間態勢で提供するネットテレビ。世界で活躍するスケートボード女子ストリート6選手のドキュメンタリー映像の制作を進めており、米国やオーストラリアなど6カ国から注目の選手に焦点を当てて取材している。日本からは中山選手が唯一出演することになり、IOCから委託を受けた米国の撮影チームが18日から5日間密着している。

 中山選手は昨年10月、「スケボーの聖地」とされる米ロサンゼルスの有名スポット「ハリウッドハイスクール・16段レール(ハリウッド・ハイ)」で、大技「フロントサイドKグラインド」を決め、写真が米専門誌「スラッシャー」の表紙を飾った。米国で一躍注目を浴び、知名度が上がったことから、出演の打診があったという。

 番組制作はロサンゼルスの室内パーク「ザ・ベリックス」のオーナーが担い、撮影チームを組んでいる。米国から来たチームの一人は「楓奈が有名になり、ボスが気に入って撮りたいとなった。パリ五輪で1位を目指せるよう応援している」とにこやかに話した。

 撮影チームは7人態勢でカメラ3台を投入し、さまざまな角度から中山選手を撮影している。生まれ育った富山市山田地域の田園風景や通学する龍谷富山高の教室、雨天時の練習拠点としている石川県内灘町のアカケンパークなどを巡り、「アジアのヒロイン」の素顔に迫った。

 中山選手は、海外クルーに囲まれた取材にも落ち着いた様子で、東京五輪後の変化について「オリンピックのすごさを知り、手本になれるような練習をしている。うまくできなくてもデッキ(板)のせいにせず、自分の何がだめだったか考えるようになった」と成長ぶりを口にした。

 世界から注目を浴びるようになった中山選手。それでも「スケートボードをしていなかったら、人見知りだから友だち以外としゃべれなかったと思うし、富山からも出ずに過ごしていた。いろいろな経験ができている」と気負わない18歳の表情を、撮影チームは追い掛けている。映像は来年5月以降、動画サイト「ユーチューブ」などで配信する。

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