まかど温泉スキー場(青森・野辺地町) 再開・維持なら町負担5年で4億4100万円 年度内にも判断へ

 2022年8月の大雨による大規模な土砂崩れで、2年連続営業休止中の国設野辺地まかど温泉スキー場(青森県野辺地町)について、同町は21日、スキー場の復旧工事と老朽化した施設・設備の更新・修繕、再開後の5年間の運営により計約4億4100万円の町の負担が生じる試算を明らかにした。町は町民説明会などで意見を聞いた上で、年度内にもスキー場再開可否の判断を下す考え。

 町が同日開催の町議会議員全員協議会で説明した。

 土砂崩れは第2リフトと、山頂側にある第3リフトの周辺で発生。町は第2リフトの復旧に約1億4140万円、第3リフトの復旧に約4300万円かかると試算。さらに、リフトやロッジ、圧雪車など車両関係の老朽化した施設・設備の更新・修繕に計約2億2190万円かかるとした。

 町は第2リフトを復旧し、第1、第2リフトのみの運行で営業を再開する案を提案。この場合、第2リフトの復旧費用に加え、安全対策上必要な第3リフト運転室の移設費用、第3リフトを除く施設の更新・修繕費用を加えた約3億2100万円の負担になる。

 また、スキー場は国有地にあるため、現在の施設所有者でこれまで運営してきた十和田観光電鉄(十和田市)がスキー場を閉鎖する場合、原状復帰しなければならず、約1億4300万円の費用が見込まれることから、町が同社に運営費を全額補助し、再開する案を提案した。

 さらに、人件費、光熱水費、重機維持費などの運営費(年間約4600万円)から営業収入見込み(同2200万円)を差し引いた約2400万円の町負担が毎年生じるという。再開するとすれば、25年12月を見込むが、復旧などの経費は国、県の補助金や起債の対象にならず、町の一般財源で対応することになる。

 野村秀雄町長は「スキー場を早期に復旧し、再開させたいという強い気持ちを持って取り組んできたが、多額の経費がかかることが判明した今、慎重に対応していかなければならない」と語った。

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