宮下宗一郎知事は21日の東奥日報の取材に対し、大規模開発を伴う陸上風力発電などに課税する再生可能エネルギー新税制度について、早ければ2024年度中の条例化を目指す意向を明らかにした。発電施設の立地禁止区域を設ける「ゾーニング」条例も24年度中の制定に向けて検討を進めており、「できれば同じタイミングでやりたい」との考えも示した。
就任から半年となる29日を前に、県庁で東奥日報のインタビューに応じた。宮下知事は、自然環境と再エネの「共生構想」を9月に公表。新税とゾーニングの制度化を柱に据えた。新税は使途を定めない「法定外普通税」で、23年度中に制度化の可否を判断するとしていた。
県内での風力発電設備の導入容量は約79万キロワット(22年度末)で国内トップ。インタビューで宮下知事は「古里の景色が風力発電で分断されるような気がする」と懸念。県内各地で続々と計画が明らかになる現状を踏まえ、「共生構想に基づく条例を早くつくらないといけない」と強調した。
禁止区域とは別の枠組みで検討する「立地促進エリア」や、既存の発電設備に対する課税について、「どう(区域と新税を)連動させるかは難しい課題で、1年がかりで議論を重ねる」と説明。その上でゾーニングと新税の条例化は一体的に進める考えだとした。
新税の導入は県議会で条例可決後、総務相の同意を得る必要がある。禁止区域の設定に関しても、事業者の経済活動の自由との兼ね合いで「慎重にやらないといけない」と述べた。
共生構想の公表時には「都会の電力のために青森県の自然がものすごく搾取されている」との見解を示し、新税などで是正を図りたいとしていた。