北限のサル、猛暑・凶作の影響は? 青森・むつ市大畑地区で冬季調査始まる

ヤマグワの枝をかじるサル=21日午前、むつ市大畑町兎沢
サルの様子を観察する松岡さん(右)ら=21日午前、むつ市大畑町兎沢

 下北半島に生息する北限のニホンザルの冬季生態調査が21日、青森県むつ市で始まった。県内外の研究者ら14人が25日まで、大畑・薬研地区を中心に、群れの構成・個体数、生息域のほか、今年夏-秋の猛暑や木の実の凶作の影響などを調べる。

 調査は、NPO法人「ニホンザル・フィールドステーション」(伊沢紘生理事長)が自主事業として毎年実施。21日は5班に分かれて、サルを見つけると双眼鏡で性別や年齢などを観察し、記録を付けていた。

 同市大畑町兎沢の大畑中学校近くにある民家そばでは、2~3歳と3~4歳の雄ザル2頭がヤマグワの冬芽や樹皮をかじっている様子を確認した。「KO2-B」という40~50頭いる群れのサルで、ここ数日、周辺では干し柿の食害などが報告されているという。

 同法人事務局長の松岡史朗さんは「ヤマグワは通常真冬に食べる。早い時期から冬の食べ物に移行している現象の一つ」と話した。

 下北半島のサルの個体数は2018年が2635頭だったのに対し、22年は2906頭と271頭(10.3%)増加。群れの数も69から74と増加傾向にある。松岡さんは「5~10年という期間で見ると、生息域は(西側から)東の方に広がり、さらに国道279号を越えて東通村の方にいこうとしている」と述べた。調査結果は同市に提供する。

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