困窮や病気の子どもを支援 「ブックサンタ」県内で広がる 昨年の11倍251人分に

ブックサンタの本をプレゼント用に包装するキャリアコーチの高木さん(右)ら=19日午後、大田原市若草1丁目

 客が購入した絵本や児童書を書店で寄付として受け付け、病気や貧困など困難な環境にいる子どもたちに贈る「ブックサンタ」の支援が県内で拡大している。本県では25日のクリスマスに合わせ、昨年の11倍超の251人の子どもたちに本が贈られる予定で、家族からは「ありがたい気持ちでいっぱい」との声が聞かれる。取り組みを後押しするのは各地の子ども支援団体。県内では今年、3団体が連携団体として名乗りを上げた。申し込みの受け付けや当日の配布など、橋渡し役を担っている。

 「子どもたちにクリスマスプレゼントをあげることができホッとしています」

 ブックサンタに申し込んだ県北在住、40代女性は安堵(あんど)した。

 ひとり親で小中学生の子ども2人を育てる。物価高で家計は厳しさを増し、プレゼントの工面は内心、「ヒヤヒヤ」だったと明かす。そんな中、3年前に出合ったのがブックサンタだ。

 昨年12月25日の朝。勉強机の上に置かれたリボン付きの袋を見て、小学生の長男は声を弾ませた。中身は昆虫図鑑。すぐにページをめくり、布団に持ち込み夜遅くまで読みふけった。女性の家には今年もブックサンタが“訪れる”予定だ。

 取り組みはNPO法人「チャリティーサンタ」(東京都)が主催。全国で客が購入、寄付した本は参加書店を通じて同法人に集約される。その後クリスマスなどに合わせ郵送のほか、連携団体やボランティアにより全国の子どもたちに届けられる。今年は県内20店を含め全国1683の書店が協力する。

 より多くの本を贈るため、鍵となるのが子ども支援団体の協力だ。県内では今年初めて連携団体に3団体が登録。つながりがある家庭から申し込みを受け付けた。その結果、本をクリスマスに受け取る予定の子どもは昨年の21人から今年は251人へと大幅に増えた。

 大田原市のNPO法人「キャリアコーチ」はクリスマスパーティーで、約80人にブックサンタからの本をプレゼントする。高木義博(たかぎよしひろ)会長(74)は「本を通じて子どもたちを笑顔にできればうれしい」と語る。

 チャリティーサンタ事務局の舟井恵(ふないめぐみ)さん(29)は「協力は非常に力強く、ありがたい。どこに住む子どもでも支援できるよう、連携をさらに拡大していきたい」と話した。本の寄付受け付けは24日まで。参加書店はチャリティーサンタのホームページで確認できる。

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