栃木県は雷多い? 春夏は日本一 年間通して最多は冬も多い北陸

 ソニー生命がまとめた「47都道府県別 生活意識調査2023」によると、栃木県民が他の都道府県民が驚かれることは「雷が多い」ことだという。確かに県民にとって、毎日のように夕空を照らす稲光は夏の風物詩。では統計的にどれくらい多いのだろう。調べてみると、意外にも栃木県を上回る「雷県」があった。

 雷の日数については、気象庁が1991〜2020年の30年間、全国各地の気象台などによる目視観測をとりまとめたデータを保有している。その結果によると、宇都宮の雷日数は平年値で年26.5日だった。年に1カ月弱も雷の日があるなんて、やはり雷が多い印象を受ける。

 ところが、その宇都宮を上回って全国一位だったのは金沢で、実に年45.1日にも上る。宇都宮はほぼ20日分も差を付けられた。同じく北陸の新潟も34.7日。どうして日本海側は雷が多いのだろう。

 理由は、東北から北陸にかけての日本海沿岸では、夏だけではなく冬にも多くの雷が発生しているためだという。金沢は、月別で最も雷が多いのが12月、次点は1月だ。宇都宮ではいずれの月もほぼ観測されることはない。

 「雷日本一を名乗ることはできないのか…」とがっかりした県民もいるかもしれない。だが落ち込むのは早い。宇都宮地方気象台によると、春から夏の暖候期(4〜9月)に限ってみれば、宇都宮の雷日数は平年値で24.2日。この数字は全国で最多だ。北部に千〜2千メートル級の山岳部を抱える栃木県。夏季はその斜面を、南から吹く風が上昇気流となって駆け上り、積乱雲を発達させる。だから栃木県は「暖候期の雷日本一」なのだ。

 停電や火災を誘発する雷だが、不思議と県民には愛されている。栃木県が「県民が大切にしたい自慢できる100の魅力」をコンセプトにまとめた「とちぎの百様(ひゃくさま)」でも、雷は「天空から神が鳴らす夏の訪れ 雷様(らいさま)」として認定されている。そんな県民の皆さまに「日本一」をお知らせできて安心している。危うく“雷を落とされる”結果になるかと思った。

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