モトクロス富田選手引退 金沢出身、昨季の日本王者

現役引退を決めた富田選手(中央)。石平選手(左)と鈴村選手にエールを送る=金沢市内

  ●マシン開発、若手育成へ 「後輩に技術伝えたい」

 モトクロスのトップライダー富田俊樹選手(32)=金沢市三馬出身、ヤマハ所属=が今季限りで現役を引退する。国内最高峰の全日本選手権IA1クラス(450ccまで)で初の年間チャンピオンに輝いてから1年余り、17年間の選手生活にピリオドを打つことを決断した。今後はテストライダーとしてマシン開発に携わりながら指導も行う予定で「身近な後輩に培った技術を伝えたい」と意気込んでいる。

 富田選手は4歳の頃、父誠幸さんの影響でモトクロスを始め、16歳からIA2クラス(250ccまで)で戦った。2013、15年には年間チャンピオンとなり、その後、米国の選手権に舞台を移した。

 20年に国内最高峰のIA1クラスへ転戦すると、2年連続で年間2位となるも悲願の頂点には届かず。悔しさをバネに、昨年は約20レース中8レースを制し、2位に大差を付けて年間王者の称号を手にした。今年は2連覇こそ逃したが、3位の好成績を収めた。

 しかし、今季途中から「燃え尽き症候群」に陥り、モチベーション維持が難しくなった。出走時の出遅れや転倒でのけがが脳裏をよぎるようになったといい、「遅かれ早かれ引退するなら、良い時に第2の人生をスタートさせよう」と引退を決めた。

 引退後はヤマハのテストライダーに加わる予定で、選手目線でマシンのモデル開発に取り組みながら、若いライダーの育成にも力を入れる。

  ●来季A級デビュー、県出身の2人「尊敬」

 富田選手が引退する来季、県出身の2人がIA2クラスに昇格してA級デビューする。今季のIBオープンクラスで5位に入った石平凌大選手(21)=内灘町、ヤマハ所属=と同6位の鈴村絆選手(17)=金沢市内、ホンダ所属=で、いずれも富田選手の背中を追って努力を続けてきた。

 富田選手について石平選手は「陰で努力する姿を見て尊敬している。いつか超えたい」と語り、鈴村選手は「富田選手の映像でしっかり勉強し、けがせず1年間走りきりたい」と意気込んだ。

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