“左ピン”でもグイグイ攻められる「APEX MBアイアン」 ウワッ、この抜け感気持ちいい~

3年ぶりのリニューアルとなった「APEX MB アイアン」の性能を調査(撮影/有原裕晶)

2014年の初代誕生から約10年が経過する「APEX」シリーズアイアン。キャロウェイの最先端テクノロジーを集約したツアーモデルで、9月には5代目となる新作が登場した。新シリーズは中空構造の「PRO」、ハーフキャビティの「CB」、そして伝統のマッスルバックを継承した「MB」の3機種。今回は、「APEX MB アイアン」の特徴をクラブの知識が豊富なクラフトマン・ミタさんが解説。さらにアスリートゴルファーのヨシダくん(HS50m/s)とベテランゴルファーのシオさん(HS40m/s)が試打して評価を語った。

クラブの特徴は?

【ミタさん】
今回紹介するのは「APEX MB アイアン」です。今回の「APEX PRO」シリーズで最も上級者向けのモデルです。

【シオさん】
私にとってはかなり手強そうなアイアンですが、マッスルバックユーザーのヨシダくんはどうですか?

【ヨシダくん】
僕はマッスルバックの見た目と打感が大好きなので、今回のシリーズの中で1番期待しています。前作からバックフェースのデザインが大幅に変わりましたね。

【ミタさん】
前作はバックフェースの中央部分にタングステン素材のスクリューウエートが搭載されていましたが、今作では黒いタングステンプレートになりました

【シオさん】
性能はどのような点が進化したのですか?

タングステンプレートを搭載し番手別設計を取り入れることで、各番手に求められる性能を発揮する

【ミタさん】
スクリューウエートはどちらかと言えば、各番手の重量や重心を調整するためのものでしたが、タングステンプレートは番手別に最適な弾道やスピン量にするために有効なテクノロジーです。新作はロング、ミドルアイアンで打球を上がりやすくなっています。

【ヨシダくん】
つまり、重心の位置を変えているということですか?

【ミタさん】
はい、番手別設計を取り入れています。3~5番アイアンは低重心、6~8番アイアンはミッド重心、そして9番以下は高重心でスピンが多く入るようになっていますよ。

「APEX MB」の新作(左)と前作(右)。バックフェースの形状が変わり、重心位置がセンター寄りになったという

【シオさん】
すでにキャロウェイの契約プロはテストしているんでしょうか?

【ミタさん】
石川遼はシーズン中にテストしていて「やさしいマッスルバックという印象です。構えた時点でやさしそうに見えましたし、高さも出しやすかったです」とコメントしていました。

【シオさん】
石川遼にはこのアイアンがやさしく見えるんですね…驚きです

【ヨシダくん】
本当にやさしいかどうか、打って確かめてみましょう!

試打した印象は?

構えるとトップラインが薄く、小ぶりでシャープ。いかにもプロや上級者向けのアイアンといった雰囲気

【シオさん】
アドレスした印象は、前回試打したキャビティタイプの「CB」よりもさらにトップラインが薄くてシャープな形状です。私からすると、とてもやさしいアイアンには見えません…。「CB」よりもオフセットがさらに少なくなっていて、ストレートネックに近いですね。

【ヨシダくん】
ヘッドのサイズは、普段使っているモデルよりも小さいです。でも、フェース長は面長に見えるので、マッスルバックに慣れているゴルファーからすれば、極端に難しい顔には見えないかなと思います。7番のロフトが34度あるので、フェース面がしっかり見えるのも良いですね。

【ミタさん】
打った印象はどうでしたか?

ヨシダくんは打感の良さや操作性に納得しつつ、「コースで使うなら『CB』かな…」と語っていた

【シオさん】
7番に関しては、そこまでハードな感じではありませんでした。打球も上がってくれて、操作性も良いので打ちやすかった印象です。ただ、個人的には「CB」の方が寛容性・安定感・飛距離性能のバランスが良かったかな。

【ヨシダくん】
シャープで取っつきにくい見た目をしていますが、そこまで難しいアイアンではないし、打感がとても良いです。アスリートの中でも「CB」派と「MB」派に分かれそうだなと思いました。弾道としては、「CB」には適度なつかまり感がありましたが、「MB」は完全に左を消せるくらいつかまりを抑えています

【ミタさん】
打感や飛距離はどうでしたか?

シオさんとヨシダくんの「APEX MB アイアン」(7番34度)試打データ

【シオさん】
芯に当たったときの打感はすごくソフト。飛距離も7番で150yd飛んでくれたので、マッスルバックアイアンとしては十分です。

【ヨシダくん】
センターヒットしたときの飛距離は「CB」とほとんど同じでしたが、打点のミスにはかなりシビアです。打点がズレたときは10yd近く飛距離が落ちます。ただし、「MB」にはマッスルバック独特の打感があるので、そこに惚れるゴルファーは多いのかなと思います。

【ミタさん】
ソールの抜け感はどうでしたか?

ソール形状はリーディングエッジとトレーリングエッジを鋭角に面取りすることで、芝に負けないようにしている

【ヨシダくん】
私がマッスルバックを使う理由の1つが抜けの良さなのですが、「MB」はソールが薄いだけではなくて、ヒール側の角がしっかりと立っているので、きれいに地面に当たってくれますね

【シオさん】
ツアープロの意見を反映したソール形状になっているようですね。選手たちが望む打感や抜け感、操作性を実現する“THE ツアーモデル アイアン”だなと思いました。

まとめ

プロが求める抜け感とコントロール性能を両立。初めてのマッスルバックにもおすすめ

【ミタさん】
「APEX MB アイアン」のロフトは「CB」と同じで5番が26度、7番が34度、PWが46度という伝統的なロフト設定になっています。飛距離や弾道は「CB」とほとんど同じでしたが、違うのは寛容性とつかまり度合い。「CB」の方が寛容性は高いですが、「MB」の方がつかまりすぎて左に行くミスは出ない。上級者モデルのアイアンでも左方向へのミスが出る人は「MB」を試してみる価値があるでしょう。「MB」の性能をフルに発揮するためには、ドライバーのヘッドスピードで45m/s以上くらいのパワーが必要だと思います。

【ヨシダくん】
良くも悪くも、その人の技量がそのまま出るアイアンです。上手く打てるとミドルアイアンでもスピンが効いて、グリーン上で戻るくらいのスピンが入るでしょう。

■試打したクラブのスペック
キャロウェイ APEX MBアイアン
●番手(ロフト角):7番(34度) ●シャフト:ダイナミックゴールド MID115 ●硬さ:S200

キャロウェイ APEX MB アイアン

■ マイクラブ情報
シオさん:タイトリスト T300 アイアン(2021年)
●番手(ロフト角):7番(29度) ●シャフト:NSプロ モーダス3 ツアー 105 ●硬さ:S

ヨシダくん:ピン ブループリント アイアン
●番手(ロフト角):7番(34度) ●シャフト:KBS $テーパー 125 ●硬さ:S+

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