兵庫県高砂市の足立敏和さん(63)が飼う柴犬「来夢(らいむ)号」(雄、5歳)が、11月に三木市で開かれた日本犬保存会全国展覧会で最高賞の内閣総理大臣賞を受けた。展覧会を目指し、柴犬を飼い始めてわずか7年目の快挙に、足立さんは「犬と人の縁に恵まれた」と顔をほころばせた。(中川 恵)
全国展覧会は日本犬保存会(東京)が主催。審査員は規定された「日本犬標準」を基に、耳の形や額の広さ、尾の力強さなどを見極める。今年は各地から約630頭が参加した。
足立さんは13年前に大病を患い、散歩のお供にと犬を飼い始めた。その後、展覧会を知り、通用する犬を求めて柴犬を販売する「讃岐水本荘」(高松市)へ行き、日本犬の世界へ足を踏み入れた。その後、月に1度は高松へ向かい育て方を学んだ。
来夢号は温厚な性格。若い頃は顔が黒くすっきりしていなかったが、年を重ねると味わいのあるいい顔になったため、昨秋から展覧会に向けた準備を始めた。受賞経験のある明石市の橋本知幸さん(50)を師と仰ぎ、相談にも乗ってもらった。
立ち姿を磨くため早朝から散歩に行き、毎日のブラッシングも欠かさない。展覧会当日は、来夢号も足立さんも緊張することなく平常心で挑めた。初挑戦で最高賞を受けた来夢号に、足立さんは「1年間よくついてきてくれた。お疲れさん」と声をかけた。「たくさんの人にお世話になった。1人では取れなかった」と振り返った。