再利用?それとも廃棄? 兵庫で宙に浮く阪神・オリックス優勝パレードの帽子とジャンパー 大阪は支給、メルカリ転売もOK

阪神タイガースとオリックス・バファローズのロゴが入ったジャンパーと帽子=神戸市中央区中山手通6、兵庫県生田庁舎

 作業着にするか、それとも廃棄か-。神戸市と大阪市で11月23日に開かれたプロ野球阪神タイガースとオリックス・バファローズの優勝記念パレード。公務で沿道に立った兵庫県と神戸市の職員約1500人に貸与されたオリジナルジャンパーと帽子のその後が定まらず、宙に浮いている。一方、職員がボランティアとして参加した大阪は支給品とされ、パレード後の取り扱いは自由。フリーマーケットアプリ「メルカリ」での販売も認めている。

 帽子とジャンパーには、いずれも「V」の文字や両チームのロゴマーク、パレードの開催日などがあしらわれている。帽子は白と黒色が基調で、上着は神戸が黒、大阪が白。兵庫県、神戸市の職員約1500人と、大阪府・市の職員約2500人が着用した。クラウドファンディングで募った寄付金と企業からの協賛金で作製されたが、現時点で金額は公表されていない。

 兵庫の場合、神戸市職員の分も含めて県が管理し、各職員に貸し出したが、返却してもらうかどうか決めていない。担当者によると、返却された場合は再利用か廃棄が選択肢になるという。

 ただ次回のパレードで使うと仮定しても、両チームのロゴマークなどには西暦が書き込まれ、そもそも両チームが同時に優勝するとは限らない。担当者は「返却されたものの販売は想定していない。廃棄しなければ、作業着に転用するかもしれません」と何も決まってない。

 一方、大阪では、現在も「メルカリ」に帽子やジャンパーが出品されている。セットで2万円以上で購入された例もある。府によるとパレード後、メルカリで大量に売り出されたことについて報道陣から見解を問われた吉村洋文知事は「自分で取っておくもよし。メルカリに出品してもいい」と転売を許可したという。

 大阪市の担当者も「あくまでも支給品。どうするかは個人の自由です」とする。

 過去に開かれた各地のパレードはどうだったのか。

 2013年に日本一に輝いた楽天イーグルス。仙台市でのパレードでは、街頭警備などを担当した市職員らのために実行委員会がジャンパーを作り、約1500着を配布した。詳しい記録は残っていないが、市の担当者は「公務やボランティアにかかわらず全員に差し上げたと思う。誰が返却していないかを確認する作業は手間がかかる。私ならその担当はしたくない」と話す。

 広島カープのリーグ優勝を祝って16、17年に広島市で開かれたパレードの沿道整理は、地域のスポーツ団体に所属する住民ら計約4700人が務めた。同市によると、パレード用に支給された帽子、手袋、ジャンパーの転売禁止が呼びかけられたという。(門田晋一)

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