アスベスト飛散量を再検証へ 阪神・淡路大震災、再来年30年 ボランティアや復旧従事者への聞き取りも

アスベスト(sakura/stock.adobe.com)

 阪神・淡路大震災が再来年で発生30年になるのに合わせ、NPO法人「ひょうご労働安全衛生センター」(神戸市中央区)は25日、震災による建物倒壊や解体で飛散したアスベスト(石綿)の量を再検証すると発表した。当時のボランティアや復旧従事者への聞き取りも行い、今後の災害対策に生かす。

 環境省によると、震災後に観測した石綿濃度は神戸市などで比較的高いレベルにあったものの、大半の地点が国基準を下回った。ただ研究者の調査では、国基準の20倍以上の濃度が確認された地点もあったという。

 こうしたデータの隔たりを調べるため、同センターは「災害とアスベスト 阪神淡路30年プロジェクト」と題して、倒壊した建物数や含まれる石綿量、過去の観測データなどを改めて集約し、被災地全体の飛散量を推計する。ボランティアらに聞き取りし、行政の対策なども検証する。

 石綿を吸うと、十数年~50年程度の潜伏期間を経て中皮腫などを発症する恐れがある。阪神・淡路では復旧作業などに当たった少なくとも5人が労災や公務災害に認定された。

 西山和宏事務局長は「災害と石綿の問題を次世代へと伝えていく義務がある」と話し、該当者の協力を呼びかけている。同センターTEL078.382.2118 (井沢泰斗)

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