3DCGでアニメ支える 富山市ヤングカンパニー大賞、映像制作業のマルコ

若いクリエーターが制作に励むマルコのスタジオ=富山市秋吉

若者中心、雇用に貢献

 成長が期待される創業2~10年の企業をたたえる「富山市ヤングカンパニー大賞」の表彰式が25日、富山市総曲輪の富山商工会議所ビルで開かれ、大賞に選ばれた映像制作業マルコ(富山市秋吉、小川耕平社長)をはじめ4社に賞状が贈られた。マルコは4年で約40本のアニメーション制作に携わっている技術力、地元の雇用創出や女性活躍の取り組みが評価された。富山市と富山商議所が主催し23回目。北日本新聞社共催。

 アニメ業界では、手描きの質感と、3Dコンピューターグラフィックス(CG)特有の滑らかな動きを融合させたスタイルが人気を集めてきている。マルコは多岐にわたる制作工程のうち3DCG部分を担う。

 青森県出身の小川社長は南砺市のアニメ制作会社「P・A・WORKS」に入り、3DCGデザイナーとしてのキャリアをスタートさせた。フリーでの活動を経て2019年、オリジナルのアニメ映画制作を目指して東京で起業した。

 設立間もなくして新型コロナウイルス禍となり、リモートワークを導入。外部との打ち合わせにもオンライン会議が定着したことから、快適な職場環境を求めて21年にJターンで富山市へ本社を移した。

 実務を通して技術を学ぶOJTでクリエーター育成を強化。年間10本のペースで制作に取り組んでおり、「キングダム」「SPY×FAMILY(スパイファミリー)」などの人気アニメに携わっている。

 地元出身者5人を含む従業員は15人で、平均年齢は27歳。時差出勤制度でライフスタイルに合わせた柔軟な働き方を可能にしている。9月には東京で働く社員のためのスタジオを杉並区に開設した。

 一つの工程に特化した専門会社から元請けへの進化を目指す。さらに人材の確保、育成に力を入れる考えで、小川社長は「富山を舞台にしたオリジナル作品を制作し、富山の魅力を世界に発信したい」と夢を語る。

◆会社概要◆ アニメーション3DCGを中心に手がける。2019年に東京で設立し、21年に富山市湊入船町に本社を移転。業務拡大で23年5月に同市秋吉に拠点を移した。従業員は15人。

成長企業4社を表彰

 表彰式には富山商議所の庵栄伸会頭や富山市の山本貴俊商工労働部長らが出席し、受賞した4社をたたえた。庵会頭が大賞のマルコの小川社長らに賞状などを手渡した。

 優秀賞のUNIQUER(ユニーカー、上飯野、熊本哲也社長)、審査員特別賞のウエブル(中央通り、増子愛社長)とTOM’S CREW ENGLISH(トムズクルーイングリッシュ、新根塚町、フェンウィック多美代表)にも賞状などが贈られた。

 運営委員長の橋本淳富山商議所副会頭があいさつ。審査委員長で中小企業診断士の布目大剛氏が講評した。インバウンド(訪日客)関連のスタートアップ、WAmazing(ワメイジング、東京)の加藤史子CEOによる講演もあった。

記念撮影する受賞企業の代表者ら=富山商工会議所ビル

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