【ホープフルS/全頭診断】無敗のダークホースに「2.2.1.1」 “完全制覇”狙う武豊センチュリボンド評は

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今週は中山競馬場で、第40回ホープフルステークス(GI、芝2000m)が行われる。GI昇格後はコントレイルやサートゥルナーリアといったクラシック勝ち馬を輩出。有馬記念をドウデュースとのコンビで制した武豊は本レースを勝てばJRA・GI完全制覇の偉業達成となる。

ここでは馬券検討のヒントとして、出走馬18頭の全頭診断を行う。

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■ホープフルステークス2023 出走予定馬全頭診断

・1枠1番 ゴンバデカーブース

シュトラウス、ボンドガールの2強ムードだった前走サウジアラビアRC。その状況を一変させる末脚で連勝を飾ったのがこの馬だ。当時繰り出した上がり3F33秒5は次位に0秒6差をつけるもの。馬群一団で直線に入ったにもかかわらず、これだけの差が生まれたのは能力の高さをおいて他ならない。GI昇格後のホープフルSにおいて、前走重賞で上がり3F最速勝利の馬は【2-1-0-0】。距離とコースは未知数も、大きく評価を下げることはできない。

・1枠2番 ヴェロキラプトル

新馬戦、野路菊Sと無傷の連勝。逃げて上がり3F33秒台、淀みない展開を控えて上がり3F35秒0と馬場・展開不問の対応力には目を見張るものがある。2017年以降のホープフルSにおいて、前走芝1800mのOPを上がり3F最速で勝利した馬は【2-2-1-1】。9月阪神芝1800mで記録した1分46秒0はリスグラシューやトップナイフを上回っており、侮れない1頭だ。

・2枠3番 アンモシエラ

ダートで連勝し、今回が初となる芝レース。厳しい印象は否めない。

・2枠4番 アドミラルシップ

スローペースだったとはいえ、芝2000mの前走勝ち時計2分5秒4は平凡。GI即通用は厳しい注文と言えそうだ。

・3枠5番 サンライズジパング

新馬戦以来の芝レースだが、当時は勝ち馬と0秒8差。ダートで15着惨敗の前走内容から、変わり身は望み薄か。

・3枠6番 シンエンペラー

デビュー戦、京都2歳Sと連勝でGIの舞台へ。道中10番手以下を進んだ前走は想定外の位置取りと言えたが、馬群を縫うように突き抜けた根性と器用さを証明した一戦と捉えれば収穫は大きなものだった。ホープフルSの勝ちパターンに該当する内枠からの好位差しが叶いそうな枠順かつ、両隣がテンに鈍いタイプであることも好材料。スローの上がり勝負、ハイペースの消耗戦どちらにも対応可能な安定感は高く評価すべきだ。

・4枠7番 テンエースワン

芝を使われた新馬戦は勝ち馬と1秒2差。ダートでもテンにいけないところがあり、芝替わりでの連続好走は至難の業か。

・4枠8番 インザモーメント

芝1800mの前走勝ち時計は平凡。GIのメンバー相手では厳しいだろう。

・5枠9番 タリフライン

この馬で注目したいのは前走ラスト3F。11秒8-11秒3-11秒0と加速ラップを刻んでおり、まだまだ余力を感じさせる内容だった。新馬戦勝ち馬と相性のよくないレースかつ初の小回りコースがどうかも、何らかの印は必要か。

・5枠10番 シリウスコルト

距離延長で良さが出た前走芙蓉S。芝1200mがデビュー戦だった馬とは思えないレースぶりだったが、2分3秒0の勝ち時計に強調材料を見出すのは難しい。舞台適性は無視できないとはいえ、中心に据えるには躊躇してしまう。

・6枠11番 ショウナンラプンタ

ゲートに課題を抱える馬で、前走は後方から。それでも上がり3F最速での4着には見どころがあった。新馬戦と同じ急坂右回りの2000m替わりは歓迎材料。当時下したサトノシュトラウスは京都2歳Sで3着に入っており、五分のスタートが切れれば上位進出の可能性は十分だ。

・6枠12番 ディスペランツァ

後方から上がり3F最速の脚を繰り出した前走だが、掲示板内には届かず。距離が延びることで良さが出そうなタイプで、3歳春の芝2400m戦あたりで狙いたい。

・7枠13番 レガレイラ

前走アイビーSは牡馬相手に3着。6頭立てゆえ参考にしすぎるのも良くないが、道中3番手と一定レベルの先行力を披露した点は収穫と言えるだろう。2017年以降のホープフルSで毎年馬券内馬を輩出する社台ノーザン系クラブ馬の1頭。やや外めの枠がどうかも、大きく評価を下げることはできない。

・7枠14番 ホルトバージ

未勝利脱出後は苦戦が続く馬。厳しい。

・7枠15番 ウインマクシマム

中山芝2000m替わりの前走で逃げ切り勝ちを飾った馬。先行力とコース適性は武器になりそうだが、当時は開幕週の1枠2番という絶好のシチュエーションだった。翻って、今回は開催が進んだ中山芝で7枠15番。前走との比較で強調材料は乏しい。

・8枠16番 センチュリボンド

デビュー以来馬券外のない堅実派。すべて4角2番手以内の先行力は魅力も、そのすべてが9頭立て以下とスムーズに運びやすい条件だったことは事実だ。前走僅差2着のウールデュボヌールは札幌2歳Sで惨敗を喫していた馬。枠順も含めて、評価を上げるには至らない。

・8枠17番 サンライズアース(※出走取消)

前走下した相手にのちの勝ち上がり馬はゼロ。レースレベルへの疑問から、連続好走へのハードルは高いものとなりそうだ。

・8枠18番 ミスタージーティー

とても届かないような位置から差し切った新馬戦。鮮烈な内容にポテンシャルの高さをうかがわせたが、3-4コーナーにかけて鞍上の手が激しく動いていたように、決して小回り適性が高いとは思えないレースぶりだった。器用さが求められるこの条件で上位進出への壁は高い。

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UMAJIN.netより一部編集・転載(2023年12月26日 18:00公開の記事

著者プロフィール

田原基成(たはらもとなり)●競馬評論家
競馬予想の魅力を世に発信し続ける「競馬ストーリーテラー」。予想に対して謎ときに近い魅力を感じており、ローテーション・血統の分野にて競馬本を執筆。現在はUMAJIN内「競馬サロン」にてコラム【競馬評論家・田原基成のいま身につけるべき予想の視点】 執筆中。『SPREAD』ではデータ分析から読み取れる背景を紐解き、「データの裏側にある競馬の本質」を伝えていく。

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