地域資源の事業化始動 プロクレアHD(青森県)傘下のコンサル、金融庁から異業種参入認可

地域バリューアップスタジオの概要について説明するプロクレアHDの石川副社長(左)とあおもり創生パートナーズの工藤社長

 プロクレアホールディングス(HD)は26日、グループ内のコンサルティング会社・あおもり創生パートナーズが金融庁から25日付で、銀行業以外の事業に参入できる「他業銀行業高度化等会社」の認可を受けたと発表した。地域資源の活用や地域課題の解決に結び付くビジネスの創出に取り組む。地方銀行グループがビジネスを掘り起こし、事業化まで担うのは全国初となる。

 青森銀行の子会社だったパートナーズは、22日付でHDの子会社に移行して銀行の「兄弟会社」となり、銀行業から独立した事業を展開する。26日はHDの石川啓太郎副社長(青銀頭取)と、パートナーズの工藤貴博社長が青森市の青銀本店で会見し、事業内容を説明した。

 パートナーズは社内に6人体制(青銀4人、みち銀2人)の「事業創造スタジオ」を新設し、来年1月4日から事業創出を始動する。同スタジオ自ら、もしくは産学官から「事業の芽」を掘り起こし、市場調査、検証を重ねてビジネス化を目指す。初めはパートナーズが事業主体となり、最終的に地域企業などに譲渡するケースも想定する。

 パートナーズの工藤社長は(1)津軽地域で発生するもみ殻を県南地域の畜産業者に販売し、牛舎の「敷料」などとして有効活用する事業(2)弘前市の歴史的建造物を活用した分散型ホテル事業(3)県内食品関連事業者の営業代行-のビジネス化を進めると明らかにした。

 もみ殻を有効活用する事業では、パートナーズがもみ殻を処分したい稲作事業者と、もみ殻を確保したい畜産事業者をつなぐ。もみ殻の仕入れ、圧縮加工、販売などを一手に担う事業を検討しており、「耕畜連携」で課題解決を図る。

 歴史的建造物の活用事業では宿泊、食事、観光施設などの機能をまち中に分散させ、まちを一つのホテルと見立てる「分散型ホテル」の概念を取り入れて事業化を目指す。弘前市には歴史的建造物が多数あるが、維持管理や観光振興への対応などが課題。まちを回遊する仕組みをつくり、交流人口の増加を図る。

 営業代行事業は来年1月から事業を開始する予定だ。同スタジオの職員が、青森県の食品を首都圏のバイヤーに売り込む。青森県は「食」に強みがあるが、営業力やマーケティングが課題。プロクレアHDが持つ150を超えるバイヤーとのネットワークを生かし、踏み込んだ販路開拓を支援する。

 HDの石川副社長は「規制緩和を生かし、産業のアイデアをビジネスにまで進化させられるのは地銀の最大の強み。人口減少の中で、青森県の産業基盤を維持、向上させていく取り組みだ」と語った。

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他業銀行業高度化等会社 2021年5月の銀行法改正でできた制度で、銀行グループの業務範囲が拡大された。銀行利用者の利便性向上、地域活性化、産業の生産性向上に資する場合などに、銀行や銀行持ち株会社が金融庁の認可に基づき「他業」に参入する子会社を設立でき、100%の出資が認められる。

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