文化財住んでアート制作 国内外の4作家、重伝建の高岡・山町筋で

アーティスト・イン・レジデンスの会場となる明治期の蔵=高岡市小馬出町の土蔵造りのまち資料館

  ●歴史、文化に刺激 来年以降も継続

 重要伝統的建造物群保存地区の高岡市山町筋にある市指定文化財「土蔵造りのまち資料館(旧室崎家住宅)」に来年1月、国内外のものづくり作家4人が滞在し、作品制作を行う。高岡の伝統建築や歴史文化を体感し、創作意欲の刺激とする。芸術家の滞在中の活動を支援する「アーティスト・イン・レジデンス」(AIR)と呼ばれる取り組みで、市内の文化財では初の試みとなる。

 旧室崎家住宅は錦糸や布の卸業を営んでいた商家「室崎家」の住宅。土蔵造りの特徴である「通り土間」をそのままの形で残す数少ない町家で、1900(明治33)年の大火後に建てられた主屋と、1870(同3)年ごろ建てられ、大火後も残った蔵を備える。

 市が室崎家住宅を土蔵造りのまち資料館として整備し、2002年から一般公開していた。今年、デザイン、WEBマーケティングなどを手掛ける「はんぶんこ」(小馬出町)が指定管理者となり、8月に伝統建築や町民文化の魅力を伝える施設にリニューアルした。

 AIRははんぶんこが主催する。作家は1月11~21日の11日間、資料館やゲストハウス「ほんまちの家」(本町)に泊まり込み、まちの雰囲気に触れながら作品の構想を練る。13~19日に資料館の主屋や蔵で公開制作を行い、20、21日に作品を展示する。

 日本、台湾、マレーシアから8人の応募があり、絵画、立体造形、メディアアートを手掛ける東京、富山、愛知、中国出身の計4人のアーティストが選ばれた。

 はんぶんこは10月から観光庁の補助を活用して土蔵の修繕や山町筋の伝統建築を紹介するモニターツアーなどを実施している。今回、国内外の視点で制作した作品をさまざまな地域の人に楽しんでもらおうとAIRを企画した。

 企画担当を務めるはんぶんこの東海文香さんによると、AIRは来年6、9月、2025年春にも資料館で実施する予定で、関係人口創出にもつなげる。

 高岡を知ってもらい、地元作家と海外作家がマッチングする機会となることにも期待しており、東海さんは「資料館や山町筋を拠点にさまざまなつながりを作り、また高岡に戻ってきてほしい」と話した。

今年8月に展示内容をリニューアルした資料館

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