探査機「はやぶさ2」で活躍 小惑星「りゅうぐう」の試料運んだ真空容器を展示 メーカーが寄贈

小惑星から持ち帰った試料を運搬するための真空容器を寄贈した佐藤精機の佐藤慎介社長と哲子常務=たつの市役所

 探査機「はやぶさ2」が小惑星「りゅうぐう」で採取した試料を国内外の研究者へ届ける際に使われたステンレス製真空容器の展示が26日、兵庫県たつの市役所で始まった。同市内で製造した佐藤精機(同県姫路市余部区)が寄贈した。佐藤慎介社長(65)は「地元の子どもたちに夢を感じてもらえれば」とアピールしている。

 同社は社員約40人の中小企業。たつの市揖西町土師の工場では数ミクロン単位の精度の特注部品を製造している。真空容器は大型放射光施設「スプリング8」(同県佐用町)にある高輝度光科学研究センターが設計し、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と米航空宇宙局(NASA)にも採用された。

 このプロジェクトを担当したのは佐藤社長の妻の哲子(のりこ)常務(58)。2016年からスプリング8の科学者とやりとりしてして試作を重ね、20年12月の探査機帰還に間に合わせた。「実際に使われた映像をテレビで見て、すごいプロジェクトに携われたと幸せを感じました」と振り返った。

 展示は来年1月末までは市役所本館1階で(12月29日~1月3日は閉館)、2月からは市青少年館(同市龍野町富永)に移される。(直江 純)

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