コロナでかなわなかった入場行進…2年越し実現 竹田高野球部OB、別大興産スタジアムで20歳の前撮り【大分県】

プラカードを持ち、入場行進を先導する吉野愛菜さん(右)=大分市の別大興産スタジアム
野球部員の名前が書かれた電光掲示板の前で前撮り
プラカードを持つ元マネジャーの吉野愛菜さん

 【大分】大分市青葉町の別大興産スタジアムで24日、昨年3月に竹田高を卒業した野球部OB10人が20歳の式典の前撮りをした。新型コロナウイルス禍で2、3年生時に、甲子園出場を目指す夏の全国高校野球選手権大分大会(2年時は県独自大会)の開会式が中止された世代。2年ぶりに思い出の地に集合し、入場行進を果たすとともに、20歳を祝った。

 きっかけはマネジャーの吉野愛菜(まな)さん(20)=福岡市、専門学校生=の母京子さん(竹田市久住町)が今月上旬、別大興産スタジアムに「娘はコロナ禍でプラカードを持てなかった。20歳になった記念に開会式をプレゼントしたい」と相談したこと。

 スタジアムはこれまで希望者には競技以外でも貸し出しており、「特別な日の場所に選んでくれたことがうれしい」(広瀬英三統括管理者)と快諾。夢を追う高校球児を見続けてきた職員が賛同し、温かく迎える準備を進めた。

 振り袖姿の吉野さんとスーツ姿の元球児9人、当時監督だった相馬豊樹さん(54)=情報科学高教諭、保護者の約20人がグラウンドに。電光掲示板に「大会プラカード 竹田高校 吉野愛菜」の文字が大きく映し出されると、吉野さんは涙を浮かべた。

 きれいに整備されたグラウンドで、欠席した同級生3人のユニホームを持ち、記念撮影を楽しんだ。吉野さんがプラカードを手に入場行進を先導。元球児が守備位置に就き、相馬監督のノックを受ける場面もあった。最後に吉野さんの祖父のリクエストで「今日の日はさようなら」の曲が流れた。

 吉野さんは1年時はスタンドから開会式を見学し、「来年は憧れの舞台に立てる」と心待ちにしたという。サプライズで夢がかない、「感動した」と喜ぶ。

 元部員の河野竜也さん(19)=竹田市直入町、専門学校生=は「最後に試合をした懐かしい場所でみんなと撮影できた」と笑顔がはじけた。

■1月6日と7日、20歳対象に施設無料開放

 別大興産スタジアムは来年1月6、7の両日、県内の20歳を対象に施設を無料開放する。同スタジアムパートナーシップ事業の一環。竹田高野球部マネジャーだった吉野愛菜さんの件をきっかけに、初めて開催する。

 時間は6日が正午~午後2時、7日は午後2~4時。野球部以外でも構わない。ベンチ、スタンド、グラウンドで自由に撮影できる。

 問い合わせは別大興産スタジアム(097.551.2000)。

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