小学校時代からライバル 青森市出身GK2人、全国高校サッカーへ 青森山田・鈴木、明桜(秋田)・川村

【写真左】昨季の悔しさをばねに、今季は不動の守護神に成長した青森山田のGK鈴木=青森市のカクヒログループアスレチックスタジアム【同右】高1からレギュラーをつかみ、今季は主将を務める明桜のGK川村=秋田市の秋田スポーツPLUS・ASPスタジアム

 28日に開幕する全国高校サッカー選手権。青森県代表・青森山田のGK鈴木将永と秋田県代表・ノースアジア大明桜のGK川村晃生(ともに3年)は青森市出身で、小学生時代に同市の青森FCで切磋琢磨(せっさたくま)してきた間柄。互いを「良いライバル」と認め合う2人は「無失点にこだわる」と活躍を誓う。

 青森FCは当時、1学年約30人の大所帯でファーストとセカンドの2チーム制で活動していた。川村がファーストチームのGKを務め、鈴木はセカンドチームで出場していた。「GKのレベルが非常に高い代だった」と指導した青森FCの伊藤豪監督(35)。鈴木について「口数は少ないが頑固で地道にこつこつ努力するタイプ」、川村のことは「最後方から大声でチームを盛り上げ、おとこ気を感じるタイプ」とそれぞれの印象を語る。

 小学校卒業後、2人の進路は分かれ、鈴木は選手権で活躍した青森山田のGK廣末陸(現ラインメール青森)に憧れ、青森山田中へ。川村は「幼稚園から青森FCでプレーしてきたから」と、中学年代の青森FCジュニアユースでプレーを続け、高校は「青森山田を倒して東北地方のサッカー界を変えたい」とパスサッカーを志向する明桜に進んだ。

 川村が自信を持つ高精度のキックが同校の原美彦監督に評価され、1年時からレギュラーを獲得。昨年度の選手権でも先発出場した。今季は「勉強や生活面を含めて、人として一番信頼できる」と原監督から主将に任命されチームをけん引。秋田県予選を無失点で勝ち上がった。

 青森FCでは「3番手のGKだった」という鈴木はその後、身長が188センチまで伸びコーチングの部分も急成長。持ち味のシュートストップに磨きをかけ、2年時から青森山田のゴールマウスを任されている。昨年度の選手権は大会前の負傷で調子が上がらず、途中出場1試合に終わった鈴木は「スタメンで活躍している川村の姿を見て負けていられないと刺激を受けてきた」。今季は高円宮杯プレミアリーグで全試合に先発し、東地区優勝とファイナル制覇に貢献した。

 川村は「青森山田の1番を背負うのは素直にすごい」と鈴木をたたえつつ、「追いつけ追い越せでやっていきたい。注目度が高い選手権で活躍する姿を見せることで青森に恩返しできれば」と練習に熱を入れる。

 両校とも初戦は31日。青森山田は飯塚(福岡)と、明桜は名護(沖縄)と対戦する。別々のチームに進み、着実に成長を遂げた2人。高校入学後の直接対決はなく、今大会で対戦がかなうとすれば決勝戦。「青森の子どもたちに夢を与えたい」と話す両守護神が全国の舞台でゴールを守る。

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