湯治効果「見える化」へ別府市などが一斉計測 データ集め誘客新戦略に活用【大分県】

計測を受ける温泉利用者=別府市野田の柴石温泉

 【別府】別府市と市の外郭団体「ビービズリンク」は、温泉入浴が健康にもたらす効果を調べる「市民一斉大計測会」を市営温泉7カ所で実施している。来年1月末まで。市の新たな誘客戦略「新湯治・ウェルネスツーリズム」の推進に向け、裏付けとなるデータを収集することが目的。ビービズリンクは「効果を『見える化』し、観光客誘致につなげていきたい」と話している。

 会場は不老泉、湯都ピア浜脇、芝居の湯、堀田温泉、鉄輪むし湯、柴石温泉、亀陽泉。年末年始などを除いてほぼ毎日、いずれかの1カ所で実施する。事業費は約500万円。

 入浴前後に▽血圧▽血管年齢▽自律神経バランス▽ストレス▽体の柔軟性―を計測。入浴前後の数値を比較し、心身への影響を確かめる。疲労度や幸福感などを尋ねるアンケートを実施し、主観的な効果も調べる。計測は無料で、前後それぞれ20分ほどで完了する。

 一部の実施日では温泉利用指導者によるカウンセリングもある。日頃の入浴習慣を聞き取り、計測結果を踏まえた上で個人に合った入浴方法、温泉施設などを提案する。この他、飲料メーカー「アサヒ飲料」と化粧品メーカー「ポーラ」も調査に協力する。

 12月2日にスタートして以降、1日当たり15~20人が計測に応じており、順調に行けば千人程度のデータが集まる見込み。結果は来春をめどに公表する予定。市は「今回限りではなく、今後も継続的に調査を実施し、データを積み上げていく」と説明する。

 ビービズリンクによると、健康を目的とした観光ツアーへの活用も見据えている。「ウェルネスの町とアピールしていく上で、数値化は重要。誰でも気軽に参加してほしい」と呼びかけている。

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