県内初、EVタクシー用に太陽光発電 宇都宮の陽東タクシー 設備稼働、コストを削減

太陽光パネル下に駐車した電気自動車の前でテープカットする大久保社長(右)ら=28日午前、宇都宮市

 陽東タクシー(宇都宮市石井町、大久保鋭江(おおくぼとしえ)社長)は、導入した電気自動車(EV)タクシーの使用電力をまかなう太陽光発電設備を宇都宮市石井町に整備し、28日、稼働式を行った。同社によると、EVタクシー向けに太陽光発電設備を導入するのは県内タクシー会社では初めて。全国でも珍しい取り組みという。

 エネルギー価格の高騰に伴い燃料コストが増加する中、車両のEV化と自家発電によってコストを削減するとともに、脱炭素経営を進めて企業価値も向上させようと導入を決めた。

 現在、運行する20台のうち、2024年にかけて計5台をEVにする予定。

 太陽光発電設備は、本社付近の私有地約100平方メートルを借り、太陽光パネル36枚を設置した。発電容量は約15キロワット。1日当たりEV3台分の充電に対応する。

 設備は同市の制度融資を活用して整備した。蓄電池も配備し、災害時には電力の供給も行う。

 EVは今年2月に2台を導入した。同社の従来のタクシー車両の場合、燃料代は1台当たり月7万円ほどかかるという。EVにすることで燃料代を低減可能で、車両購入費は国や市の補助金を活用した。

 同社によると、タクシーのEV化は首都圏を中心に進んでいる。一方、太陽光パネルの設置は場所の確保が難しいため、使用電力を自家発電する事例は珍しいという。

 県タクシー協会によると、加盟する県内タクシー会社89社のうち、EVを導入するのは陽東タクシーを含めて2社。

 EVは運行時の振動が少なく、乗り心地が良いといい、大久保社長は「タクシーの運賃が上がる中でサービスを向上させることが必要。業界でもEV導入が広がっていってほしい」と話した。

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