小杉放菴記念日光美術館 師弟の画業に迫る企画展 1月28日まで、70点公開

五百城と放菴の師弟の作品などが並ぶコレクション展

 【日光】晩年を日光で過ごした明治期の洋画家五百城文哉(いおきぶんさい)(1863~1906年)と弟子の小杉放菴(こすぎほうあん)に焦点を当てたコレクション展「文哉と放菴」が1月28日まで、山内の小杉放菴記念日光美術館で開かれている。五百城の生誕160年を記念した企画で、同館が所蔵する作品など資料を含め約70点から師弟の画業に迫る。

 同館の迫内祐司(さこうちゆうじ)学芸員は「日光に五百城という画家がいたからこそ、放菴という画家が現れた。そういった歴史の積み重ねを感じ取ってほしい」と話す。

 五百城は水戸藩士の家に生まれ、洋画家高橋由一(たかはしゆいち)の下で洋画を学んだ。晩年を日光で過ごし、幼かった放菴に絵を教えた。日光では、風景や風俗などを描いた外国人旅行者向けの「土産絵」を手掛けた。

 会場には「東照宮・陽明門」や「滝尾神社・鳥居」など、二社一寺周辺を描いた五百城の作品が並ぶ。

 五百城は植物の見識も深く、植物学者の牧野富太郎(まきのとみたろう)とも親交があった。「四本龍寺・三重塔」の作品は林の中から塔を臨む構図で、草木も繊細に描かれている。迫内学芸員は「植物の描写が丁寧で美しいのは、植物に精通しているからこそ」と説明する。

 放菴は20代前後の若い頃の作品を中心に展示する。迫内学芸員は「五百城から写実の基礎を徹底的に学んだからこそ、放菴はその後、独自の世界を築けた」と話す。このほか手紙や写真など貴重な資料に加え、同じ時代に土産絵を描いた画家たちの作品も並ぶ。

 今月30、31日、1月4~6、9日と月曜休館。1月1~3日は特別開館。元日のみ無料。8日は開館する。入館料は一般730円。午前9時半~午後5時(入館は4時半)。14日午前11時から、学芸員が解説する。(問)同館0288.50.1200。

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