10年に一度レベルの暖かい年末年始 地球温暖化の加速か?調べてみたら…「昔の冬は寒かった!」

「10年に一度レベルの暖かい年末年始」だとニュースや天気予報で話題になっています。2023年の年末は「大雪」から一転して、この暖かさ。地球レベルで異常気象が起きているのでは?と感じざるを得ません。

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人生の先輩からは「昔の冬はもっと寒かった」という話をよく聞きます。地球温暖化の加速が叫ばれる中、「昔の冬」と「今の冬」の寒さは、どのくらい違うのでしょうか。調べてみました。

気温が0度未満「冬日」初日はいつ?

注目したのは、気温が0度未満(氷点下)になる「冬日」。シーズンごとに、初めて「冬日」になった日がいつだったのか。「札幌」「東京」「静岡」「大阪」の1940年以降の気温を調べ、傾向を分析しました。

【東京】
東京では、大晦日までの2023年冬シーズンの最低気温は「10年に一度レベルの大寒波」とも言われた12月23日の0.1度です。朝の気温が0度を下回った日は、ありませんでした。

1940年以降のデータを調べると、1950年代前半までは、11月後半になると気温がマイナスになる「冬日」が現れていました。その後「冬日」を観測する日がだんだん遅くなり、1950年代後半から60年代にかけては12月、1970年代以降は1月にならないと「冬日」を観測しなくなります。

2000年代には、冬シーズンを通して一度も気温がマイナスにならない「冬日なし」が3回もありました。

冬の朝の気温が下がらないのは、温暖化だけでなく、コンクリートに固められた「都市気候」が関係しているとみられます。

東京の気温がこの10年で突然変化?理由は…

年々、冬が温かくなる中、東京では2014年以降、気温のデータに変化がありました。2014年から2022年までの9年間の冬日初日は、冬日なしが1回、1月が2回、12月が5回でした。約50年前、1970年前後の気温に戻ったような感じです。

なぜなのか? 実は、東京の観測地点は気象庁の移転に関連して、2014年に大手町から北の丸公園に移転しています。アスファルトやビルに囲まれた場所から、緑豊かな場所に移ったことで、都市気候の影響を受けにくくなったのです。

【大阪】
大阪の「冬日」初日も、東京と同じような傾向です。1940年代は11月、1950年代から60年代は12月、70年代以降は1月、最近は2月や冬日なしが増えてきました。

【札幌】
札幌では、1940年代から1960年代までは、10月下旬に気温が初めて氷点下を観測し、冬日初日となるのがほとんどでした。その後、1970年代から2000年までは、11月上旬ごろが多くまります。

2001年以降は11月中旬ごろとなり、11月下旬まで気温がマイナスとならないシーズンも見られるようになりました。2023年は11月12日で、東京や大阪と同様、徐々に遅くなっています。

3月まで全国的に高温の予想…温暖な静岡も「冬日なし」か

【静岡】
暖かい地方というイメージがある静岡ですが、日中は10度を超えても、朝晩はそれなりに冷え込みます。東京や大阪などの都市部とは違い、自然が豊かなため、地上の熱が逃げるのです。

静岡では、12月中に朝の最低気温がマイナスになることが多いのですが、2023年は、まだマイナスの気温は観測されていません。2019年に初めて「冬日なし」となりましたが、新年になっても暖かさが続けば、再び「冬日なし」となるのかも知れません。

【気象庁の3か月予報】
2024年3月までの天候の見通しとして気象庁が12月19日に発表した「3か月予報」では、寒気の影響が弱いため、全国的に気温が高い予想になっています。

地球温暖化の影響などにより、地球全体として大気の温度が高いとしています。また、上空の偏西風が日本付近で蛇行し、平年より北を流れやすい見込みだということです。このため、日本付近では冬型の気圧配置が平年より弱く、寒気の影響を受けにくい予想です。

気温が平年より高くなる確率は、北日本では1月から3月を通して40%。東日本では1月と2月が50%で3月が40%、西日本と沖縄・奄美では1月から3月を通して50%です。

地球温暖化による日本の冬への影響は、少なからずあるようです。

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