新年あけまして即エクスペンダブルズ!スタローンに一体何が?ステイサムが魂継承!?『エクスペンダブルズ ニューブラッド』は映画館で浴びる新春バズーカ

『エクスペンダブルズ ニューブラッド』© 2022 Ex4 Productions, Inc.

新年あけまして即エクスペンダブルズ!

……というわけで、全国1億人数千万人の消耗品・予備役の皆さん、お待たせしました!

ファン待望にして悲願の『エクスペンダブルズ ニューブラッド』が2024年1月5日(金)、ついに公開される。公開が発表されてから、寝ても覚めてもエクスペンダブルズ状態で過ごしてきた人もいるだろう。

前作『エクスペンダブルズ3 ワールドミッション』から実に9年。あれから自分も社会の消耗品として生き続けた結果、すっかり白髪も増えた。

なんというか、今まで生きてきた甲斐がありました。

※以下、物語の内容に触れています。ご注意ください。

エクスペンダブルズ史上最大の危機にステイサムはどうする?

そんな打ちも打ったり、シリーズ4作目のあらすじ。命知らずしか入門を許されない傭兵集団、エクスペンダブルズ。洋楽バンドばりにメンバーの入れ替わりが激しいことに定評があったが、スタローンとステイサムの消耗品夫婦、ランディ・クートゥア、ドルフ・ラングレンのガタイコンビは健在だ。

お喋りは親譲りなガルゴ(アントニオ・バンデラス)の息子や、スタローンと旧知の仲である50セントなど新規メンバーを迎え、エクスペンダブルズは今日も今日とてアバウトな作戦に挑んでいた。標的は、正体不明のテロリスト=オセロットとラフマト(イコ・ウワイス)のコンビが奪った核爆弾の起動装置だ。

いつものように<作戦コマンド:ガンガンいこうぜ>一択で正面玄関から殴り込むエクスペンダブルズの面々!

しかし、彼らの命運が尽きる時が来た。イコ・ウワイスの鬼エイム(※ヤバい照準合わせ)によって、何とスタローンのエクスぺ号が狙撃1発で墜落! 呆然とするステイサムを尻目に地面に激突、大爆発するのであった。

残骸に駆けよるメンバーであったが、そこには焦げに焦げたスタローンのBBQが!――任務の失敗、そしてスタローンの死。さしもの屈強なタフGUYたちも沈痛な表情を浮かべるしかなかった。

しかし空気の読めないアンディ・ガルシアは作戦の失敗を許さない。非情にも、ステイサムが命令を守らなかったからという理由で解雇通知! そもそも作戦に命令なんてあったかしら……という話であったが、それはそれとしてステイサムは若頭として責任を取らされ、離脱を余儀なくされるのであった。

ガッカリするヒマもなく、とりあえずタ◯ン◯ークを開いて職探しするステイサム。そこでインフルエンサー警護の仕事にありつくも、クライアントのゲスさが目に余り、道徳を鉄拳で教え込むサービス精神を披露! たとえ部隊を離れても“キープ・オン・エクスペンダブルズ”な姿勢で速攻クビになってしまうのだった。

ボコられたインフルエンサーは気の毒だが、一瞬カタギとして生きたものの、やはり自分は死ぬまでエクスペンダブルズなのだという、本当の自分を見つけるステイサム。こうなればスタローンの仇敵に「キャン!」と言わせにゃエクスペンダブルズの名折れだ。香典代わりのケジメをつけるべく、遺品である“幸運の指輪”を装備したステイサムは動き出す。

核爆弾による世界大戦の危機回避は……まあ、この際オマケだ! 今、愛と怒りと悲しみを拳とナイフと弾丸にこめて、たった一人の<はぐれエクスペンダブルズ>による弔い合戦の火蓋が切って落とされるのであった。

ステイサムの「仲間なんかじゃない、兄弟同然だ」という言葉に涙

思えば、シリーズを通して若頭ポジションであり、スタローンの嫁枠でもあったステイサム。そんな彼が苦節13年目にして、今回いよいよ主演に抜擢! 暴力インスタ生配信、武装バイクでのアグレッシブな大暴走、イコ・ウワイス相手の凶器バトル&ステゴロ……と、求められる仕事をキッチリこなしている。

本作を含め、シリーズで通算二回目のリストラ勧告を食らってしまおうとも、他人に資格や肩書きを奪われようとも、すべてガン無視で自称を貫く! “他人に認められるより、まず自分がどうあるべきか”を見つめ直すステイサムの姿勢およびムーブは、今後もぜひ見習っていきたい。

また本作では、ステイサムが過去の『エクスペンダブルズ』シリーズでのムーブや武装をセルフオマージュで披露!『ニューブラッド』というサブタイトルではあるが、長年付き合ってきたファンをニヤリとさせてくれる。

そして、いよいよ本作で引退を決意したと噂されるバーニー・ロス隊長ことスタローンである。玄関開けたら即スタローン、朝飯代わりの酒場での乱闘、そして、まさかのBBQ退場に目を疑ってしまうだろう。しかし、やはりシリーズ名物のステイサムとの皮肉交じりのやりとりは微笑ましい。

だからこそ、劇中でステイサムがスタローンへの想いを呟く「仲間なんかじゃない……兄弟同然だ」という言葉が実にグッとくる。シリーズを追い続けた者としては、思わず『俺もだよ!』と身を乗り出したくなった。

これで終わりと信じたくないのが正直なところだが、ぜひスタローンとステイサム=消耗品夫婦の絆の行方を見届けて欲しい。

『エクスペンダブルズ』に求めるのは“映画的正しさ”ではない

今回は新規消耗品として、かつて出演した『トランスフォーマー』(2007年)みたいな顔に仕上がっているミーガン・フォックス、ラッパーからBADASSなジャンル映画俳優になりつつある50セント、二重人格の助太刀屋トニー・ジャー、タトゥーがイケてるバトルギャルのレヴィ・トラン、食えない狸CIAっぷりを魅せるアンディ・ガルシア、目にも留まらないチェーンパンチを繰り出す強敵イコ・ウワイスが合流! 〆のお茶漬けといわんばかりに、シリーズの4次会には丁度いいカロリーの人選だ。

そもそもステイサム扮するリー・クリスマスのスピンオフとして企画されていた本作だったが、製作のゴタゴタのおかげで迷走。結果、完成後にナンバリング作品としてカウントされた経緯がある。確かに、CG処理については正直PS2並の激安っぷりだが、予算及びコロナ禍の撮影が響いているかもしれんことが伺える。だが、個人的に『エクスペンダブルズ』に求めるのは、映画的正しさではない。

そもそも、今までのシリーズが「気の利いた映画か?」と聞かれたら「まあ……全然!」としか言いようがない。ともすれば、正しい大人なら呆れるかもしれん。だが、育ちを間違った映画バカほど震える。それこそが『エクスペンダブルズ』に求めるものだ。

しょうもない下ネタ、爆裂アクション、斜め上な超展開。この三拍子が、いつもの『エクスペンダブルズ』よりも火力強めという意味でも、本作はシリーズで一番倫理観およびロジックがどうかしている。具体的に言えば、なにせ『ゴジラ-1.0』の放射火炎以上の大爆発まで劇中で起こるのだ。怪獣抜きで!

『エクスペンダブルズ』シリーズに世間の良識や常識を求めるのは、いわばラーメン屋で懐石料理をお願いするようなもんだと、改めて思わせてくれる。海外のレビュー等ではマイナス評が目立ったが、言わせてほしい。

いやあ、全然面白いじゃないのよ!

恐らく鑑賞前に不味いもん食ったとか、恋人と別れたとか何かあったんだろう、プライベートで。やはり赤の他人の意見なんて参考にならねえなあ、おい! まあ、このレビューが一番アテにならんかもしれんが‼

ともあれ、過去に一瞬でも『エクスペンダブルズ』に心を揺さぶられた人……いや、馴れ馴れしいのは百も承知で、こう呼ぼう。三度の飯より『エクスペンダブルズ』を是とする、魂の兄弟たちよ。本作劇中でのステイサム同様、観る前から他人に「こんなの『エクスペンダブルズ』じゃねえ」とか言われても、ブレずに「いや、『エクスペンダブルズ』だ」と、お近くの劇場へ鑑賞という名の出撃をしてほしい。

文:“DIE”suke

『エクスペンダブルズ ニューブラッド』は2024年1月5日(金)より全国公開

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