【能登半島地震】水道「やっと使える」 全域断水の氷見4000世帯復旧

水道から出るきれいな水を喜ぶ住民=3日午後3時半、氷見市窪

  ●残り1万世帯めど立たず

 「やっと水が使える」「やったー」。全域で断水が続いていた氷見市で3日朝、市南部の宮田と窪地区の計約4千世帯の水道が復旧した。トイレや風呂、飲み水に困っていた住民は2日ぶりの復旧に安堵(あんど)し、蛇口から出るきれいな水に笑顔が広がった。一方、残り1万世帯では復旧のめどが立たず、市内8カ所の給水ポイントにはひっきりなしに市民が訪れ、終わりが見えない水の確保に疲れた表情を浮かべた。

 窪と宮田の両地区では午前7時に水道が復旧。防災無線や市ホームページなどでアナウンスされた。

 「トイレが流れて風呂も入れる。こんなにありがたいことはない」。窪の黒田修さん(63)は風呂に湯をため、笑顔を浮かべた。

 黒田さんによると、2日は水が出るようになったものの濁って泥臭く、飲める状況ではなかった。市の給水や雪山を解かして水を確保していただけに、黒田さんは「きれいな水はやっぱりうれしい」と声を弾ませた。

 一方、残りの1万世帯では断水が続く。市によると、幸町の国道415号と、大野の市道の2カ所で水道管が漏水。地震の影響で管の継ぎ手が外れるなどしたとみられ、3日から道路の掘削作業や資材調達の手配を始めたが、復旧のめどは立っていないという。

 市は3日も午前6時から給水を開始。同市北部中には、市民がポリタンクやゴミ袋などを持って次々と訪れた。大谷レイ子さん(79)=中村=は、2日の給水では2時間待ったとし「もう腰が痛い。水を運ぶのは年寄りには重労働や」と疲れた顔を浮かべた。

 山﨑淳子さん(72)=余川=一家は地震以降、市外の銭湯やコインランドリーに行ったり、給水用のポリタンクを求めてホームセンターを巡ったりと断水に振り回されているよう。山﨑さんは「食事で水はすぐ無くなってしまう。この生活が続くのはつらい」と嘆き、早期の復旧を願った。

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