暖取る燃料が…「放っておけない」兵庫のボランティア再び能登へ 07年地震から交流、今こそ寄り添う

神戸から支援物資を届け、現地の人たちにエールを送った村井雅清さん(右から2人目)と吉椿雅道さん(中央)=石川県七尾市(被災地NGO恊働センター提供)

 能登半島地震の被災地は兵庫とのつながりが深い。きっかけは2007年に同じ石川県で起きた最大震度6強の地震で、当時、神戸などから多くのボランティアが現地へ駆け付けた。以来交流は続き、能登の人たちは阪神・淡路大震災の被災地にも心を寄せてくれていた。「放っておけない」。今再び大きな被害に見舞われた寒冷の能登半島へ、兵庫から続々とボランティアが向かう。

 「被災地NGO恊働センター」(神戸市兵庫区)顧問の村井雅清さん(73)は2日、避難所となっている石川県七尾市の公民館に食料や水を届けた。07年地震時、学生らによる足湯ボランティアとともに能登の避難所や仮設住宅を訪れ、被災者の声に耳を傾けた経験がある。その後も地域の秋祭りに参加するなど交流を深めてきた。

 今回は「CODE海外災害援助市民センター」(同)事務局長の吉椿雅道さん(55)と現地入り。公民館には高齢者を中心に約50人が避難し、車中泊をしている人も30人近くいた。停電と断水が続き、暖を取る石油ストーブの燃料にも限りがある。

 神戸からの支援に、避難所のまとめ役を担う女性は涙ながらに喜んだという。吉椿さんは「物資はいずれ届くが、大切なのは一人一人に寄り添う気持ち。長期的に支えたい」と語る。

 神戸大OBで「被災地に学ぶ会」代表の藤室玲治福島大特任准教授(49)は2~4日、支援物資を手に同県輪島市などで活動した。

 藤室さんは07年地震後、輪島の仮設住宅で足湯ボランティアに取り組んだ。今回、再会できた住民は3日間何も食べていなかった。藤室さんは「その住民はずっと神戸に思いを寄せてくれ、阪神・淡路の追悼行事にも来てくれた。今回は自分たちが役に立ちたい」と力を込めた。

 芦屋市の災害ボランティア、吉田信昭さん(49)も2日夜に輪島市に到着。合流した仲間と重機を使い、倒壊家屋にふさがれた道の開通作業などに当たった。大規模な火災に見舞われた「朝市通り」は「思い入れのある土地。被害がひどい」と声を落とした。

 「日本災害救援ボランティアネットワーク」(西宮市)は研究者やボランティアを5日から輪島市などに派遣する予定。同ネットワーク副理事長の渥美公秀・大阪大大学院教授は「被災地を放っておけない」と話す。

 神戸市職員労働組合は07年地震の後、石川県穴水町の職員互助会と「助け合い協定」を締結。今回はカンパを募り、必要な支援を検討する。村上敏光書記長(51)は「穴水町の職員は自ら被災しながらも住民のことを第一に考えている」と現地の労苦を思いやった。(上田勇紀、中島摩子、綱嶋葉名、高田康夫)

     

 兵庫県内で被災地支援に動き出している団体は支援金や救援募金への協力を呼びかけている。

 ▽被災地NGO恊働センター 郵便振替01180-6-68556。加入者名は「被災地NGO恊働センター」、通信欄に「2024年能登半島地震」

 ▽日本災害救援ボランティアネットワーク 郵便振替00900-5-29560。加入者名は「NVNAD国内支援口」。銀行振り込みは、三井住友銀行西宮支店、普通預金7022161、口座名義「NVNAD国内支援口」

 ▽阪神淡路大震災1.17希望の灯り(HANDS) 郵便振替01120-7-70117。加入者名は「キボウノアカリ」。通信欄に「能登半島地震」。銀行振り込みは、ゆうちょ銀行一一九店、店番号119、当座70117

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