発着枠拡大の神戸空港、鍵は国内需要 関西エア・山谷社長「日本の旅客にムーブメントを」

神戸空港の将来像について語る関西エアポートの山谷佳之社長=大阪府泉佐野市(撮影・笠原次郎)

 神戸、大阪(伊丹)、関西の3空港を運営する関西エアポート(大阪府泉佐野市)の山谷佳之社長が、神戸新聞社のインタビューに応じた。2025年大阪・関西万博に向け国内線の発着枠が増える神戸空港について、国内需要を掘り起こす重要性を強調。「神戸は異国情緒があり日本人から見て面白い旅行先。インバウンド(訪日客)だけに目を向けず、国内に対して神戸の魅力を打ち出すのがいいのでは」と提案した。

 同空港は23年1~11月の旅客数が約316万人と、過去最多だった19年の同期間の約308万人を上回り、新型コロナウイルス禍からの回復が顕著となった。

 25年には国際チャーター便が解禁され、国内線は発着回数の上限が1日80回から120回に拡大する。山谷氏は、地方路線を念頭に「ニッチな領域でチャンスがある」とみる。それを生かすため、「万博期間中、日本の旅客は神戸に宿泊してもらうムーブメント(運動)を起こすことが大事」と述べた。

 さらに30年前後には、国際定期便の就航が見込まれる。山谷氏は、万博会場の隣にカジノを中心とした統合型リゾート施設(IR)が開業するのを好機と捉えるべきとし、「スーツケースを持ったまま船に乗り、最短の時間で行ければ、神戸空港のポテンシャル(可能性)は高まる」とした。

 また、国際化で成功するかどうかは、「ターミナル」「ホテル」「アクセス」が鍵を握ることから、「地域で空港を育てていく視点を持つことが重要」とも強調。特に播磨地域の需要開拓に期待感を示した。

 地域航空会社フジドリームエアラインズを傘下に持つ鈴与ホールディングス(静岡市)が、スカイマークの筆頭株主となったことにも言及。「(鈴与からは)神戸空港をハブ化したいという話も出ており、関西圏で神戸を中心に考えたいとのメッセージだと受け取った。大変ありがたい」と歓迎した。(大島光貴)

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