輪島生き埋め100件 捜索急ぐ、県内死者92人に

救助活動を行う大阪市消防局の隊員=5日午前9時40分、輪島市河井町

  ●安否不明242人

  ●のと里山海道 上棚矢駄―徳田大津午後開通

 石川県で最大震度7を観測した能登半島地震で、輪島市の坂口茂市長は5日、市内の生き埋めは100件を超えるとの見方を示した。市役所での会見で明らかにした。県の午前10時の発表では、県内で92人の死亡が確認され、連絡が取れない安否不明者は242人に上った。被害はさらに増える恐れがある。県は、のと里山海道上棚矢駄―徳田大津インターチェンジ(IC)について、同日午後2時に通行止めを解除する予定で、能登各地との行き来の時間が短縮される。

 自衛隊は約5千人に態勢を拡充した。甚大な被害となった輪島市と珠洲市を中心に、警察や消防と連携して安否確認や捜索を急ぐ。

 坂口市長は、輪島市内の安否不明者138人の安否確認について「感覚的には8割ぐらいは進んでいるのではないか」と話す一方で、孤立集落や郊外での確認は遅れているとした。

 市町別の死者数は輪島市が55人、珠洲市が23人、七尾市、穴水町で各5人、能登町で2人、羽咋市、志賀町で各1人。輪島市以外の安否不明者の内訳は珠洲市82人、穴水町と能登町各9人、七尾市3人、志賀町1人。県内の負傷者は464人。

 避難者は7市7町の計373カ所で3万3055人となっている。輪島市が154カ所、1万2834人と最も多く、珠洲市6981人、能登町4930人、穴水町3625人などとなっている。

 県によると、5日朝までに、珠洲市内では能登半島地震による孤立集落が新たに3カ所で確認され、計12カ所となった。取り残されているのは同市内だけで少なくとも770人を超えるとみられる。

 馳浩知事は午前の県災害対策本部員会議で、外浦地区の孤立集落は陸路による解消が困難との認識を示し、同日中にもヘリコプターなどによる避難を開始するとの方針を示した。

 珠洲市内では新たに三崎町寺家の宿泊施設に約60人がいることが分かったほか、同町雲津に2人が孤立していた。同町杉山にも取り残された人がいるが、人数は不明。

 断水は県内計約6万8千戸で続いており、七尾、輪島、珠洲、志賀、中能登、能登、穴水の3市4町はほぼ全域にわたって水が出ない。停電は奥能登を中心に2万7200戸を数える。

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