地震と津波に襲われた珠洲市宝立(ほうりゅう)町鵜飼(うかい)の避難所からカレーの香ばしい匂いがした。約700人が身を寄せる宝立小中では物資が行き届かず、避難した住民が壊れた自宅から野菜や肉などを持ち寄り、自転車置き場に即席の調理場を設けて炊き出しをしている。
避難住民が交代で調理し、5日の献立はカレー汁だった。ダイコンやニンジン、白菜など野菜たっぷりのスープが鍋でぐつぐつと煮立ち、女性がケチャップやソースで味を調えた。
この日、避難者に振る舞われたのはカレー汁とにぎり飯一つ。「カレーうどん」にして楽しんでもらおうと、うどんが用意されたが、約20人が寝泊まりする教室に配られたのは、わずか2玉分だった。炊き出しは1日1食。お年寄りや子どもが空腹を抱える被災地の「現実」を見せつけられた。(珠洲支局長・山本佳久)