英語版『りんご日報』で米市場参入

壱伝媒集団(ネクストメディア)の創業者である黎智英(ジミー・ライ)氏が外国勢力と結託して国家の安全を脅かした罪に問われた裁判が1月3日に公判5日目に入った。1月4日付香港各紙によると、検察は2019年4月27日、黎氏が「香港監察」創設者の羅傑斯氏が逃亡犯条例の改正に対する抗議事件をきっかけに、パッテン元総督がコメントするインタビューを行い、これによりさらに多くの人々がデモに参加することを民主派らが期待していると発言したと主張。黎氏は『りんご日報』の英語版を創刊することで「国際的なメディアラインの拡大」と「米国市場への参入」を計画し、またマーク・サイモン氏に対し英語版『りんご日報』のプロモーションビデオ撮影にパッテン氏を招くよう依頼した。黎氏はまた「『りんご日報』は生き残るためにトランプ政権の支援に依存している」と述べ、国際チームの従業員に対し、トランプ氏をターゲットにする外国メディアに追従しないよう指示した。

周天行・副刑事検事は3日の法廷で冒頭陳述を読み続け、元米国国務省上級顧問ウィートン氏が2020年4月に『りんご日報』で英語コンテンツを掲載することを黎氏に提案し、政治的効果があると述べたことに言及した。2020年5月以降、中央政府が「香港版国家安全法」を施行する意向であるとのニュースが流れ、黎氏は「香港版国家安全法」の施行を想定し、張剣虹氏、陳沛敏氏、羅偉光氏らとWhatsAppグループを開設し、新聞の英語コンテンツについて協議する指示を出した。併せて香港版国家安全法の施行前に英語版をスタートした。

『りんご日報』は20年5月25日、「英語版『りんご日報』を無料体験」とする記事を掲載。20年5月31日、黎氏は張氏に対し、英語版『りんご日報』を米英の政治家に無料で提供するよう指示した。さらに黎氏は張氏とマーク・サイモン氏に対し、英語版は海外の人々からの経済的援助を得るだけでなく、外国、特に米国の政治家からの支持と政治的保護を獲得するためでもあると語った。 黎氏は20年5月14日、英語版『りんご日報』のために撮影したプロモーションビデオを公開。その内容は「香港版国家安全法」の施行が迫っているのに当たり、『りんご日報』はより多くの海外の人々を購読してもらい、経済上の支援だけでなく香港の人々に政治的保護も提供してもらいたいというものだった。20年6月19日の時点で英語版『りんご日報』の購読者数は18万8000人で、そのうち27.9%が米国人だった。

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