「高齢化が進むと耐震化が進まない」能登半島地震で相次いだ住宅倒壊 伊豆半島も似たような環境 対策が欠かせず

能登半島地震の被災地では、懸命な救助活動や物資の支援などが行われています。今回の地震を受けて専門家は、全国の他の地域でも、基本的な対策の徹底がもう一度、必要だと指摘しています。

【写真を見る】「高齢化が進むと耐震化が進まない」能登半島地震で相次いだ住宅倒壊 伊豆半島も似たような環境 対策が欠かせず

能登半島地震では、最大震度7の揺れで多くの建物の倒壊し、被害が拡大しました。

長年、静岡県の防災行政にたずさわり、現在は、日本災害情報学会の会長でもある静岡大学の岩田孝仁特任教授は、能登地域の高齢化率の高さが大きな被害につながったと指摘します。

<静岡大学防災総合センター 岩田孝仁特任教授>
「高齢化が進むと、なかなか耐震化が進まないという問題も背景に潜んでいる。耐震化や地震の揺れに対して十分な備えがあれば、これだけの大きな被害にならないが、どうしても手薄になっていると被害の拡大につながる」

<記者リポート>「輪島朝市が炎に包まれています」

大規模な火災が発生した輪島市の「朝市通り」も古い木造住宅が密集していました。

今回の地震ではわずかな時間で津波が襲来し、防潮堤を乗り越え浸水した地域がありました。建物が倒壊すると津波から逃げるのも難しくなります。

<静岡大学防災総合センター 岩田孝仁特任教授>
「建物が倒壊すると中にいる人が逃げられなくなる。周囲の避難路も妨げてしまう。最低限の地域全体の耐震化は徹底した上で津波対策を推進していくことが重要」

能登半島地震では、土砂崩れが相次ぎました。道路が寸断され、被災地に救援部隊が入れず、物資の不足が課題になっています。

<静岡大学防災総合センター 岩田孝仁特任教授>
「いま、災害に備えて1週間程度の飲料水や非常食を備蓄しましょうと。これは非常食だけでなく、体が不自由な人や乳幼児を抱えていたり、色々な要素がありますから、必要な物資は食料だけにとどまらない。1週間ぐらいは最低でも自活できるようにしておくことが、まず自らやる防災対策の一つ」

能登地域は、金沢の市街地からかなり離れていて、限られた道路しかつながっていない場所に集落が点在しています。こうした場所は、静岡県など、他の地域にもあります。

<静岡大学防災総合センター 岩田孝仁特任教授>
「静岡県の伊豆半島と似たような環境でもあり、急峻な山を抱えている。沿岸は津波の浸水の危険がある。広域に被害が広がると、そう簡単に支援の手は外から入って来られない。自分たちの地域を自分たちで守れるか、もう一度きちんと防災対策の組み立てをしておく必要がある」

住宅については、被害が大きかった石川県珠洲市の耐震化率は、2018年度末で51%でした。静岡県では県全体で89.3%とかなり進んでいますが、伊豆半島の下田市では70.8%など、まだまだの地域もあります。

© 静岡放送株式会社