国内企業、防衛事業を相次ぎ強化 予算増が追い風、人材確保進める

フィリピンに納入された三菱電機製の警戒管制レーダー=2023年12月(共同)

 国内メーカーで防衛事業を強化する動きが相次いでいる。ここ数年は事業撤退が続いていたが、防衛費を2023年度からの5年間で約43兆円に増やす政府方針が追い風となった。各社は受注拡大に向け数百人規模で人材確保を進めており、収益力の向上につなげたい考えだ。

 防衛事業を巡っては、輸出ルールを定めた「防衛装備移転三原則」に基づき、国産完成品が23年10月に初めて輸出されるなど販路は拡大。さらに政府は、三原則の運用見直しで輸出の大幅緩和に踏み切っており、メーカーの動きを後押ししそうだ。

 三菱重工業は23年11月、防衛事業説明会を開き、24~26年度に売上高が年1兆円と、現状から倍増するとの見通しを発表。「国家安全保障の機運が高まっている」とし、ミサイル製造や次期戦闘機の開発に積極投資する。

 川崎重工業は対空ミサイル用エンジンなどの受注増を見込み、売上高を22年度の約2400億円から30年度に5千億~7千億円まで増やす計画。IHIも防衛事業に300人以上を増員予定だ。

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