〈1.1大震災 発生1週間〉29施設、740人受け入れ 富山県内ホテル・旅館

  ●予約取り消し9000人に拡大

 能登半島地震を受け、富山県内のホテル・旅館29施設が避難所として計740人の受け入れが可能との意向を示していることが7日、県ホテル・旅館生活衛生同業組合への取材で分かった。地震に伴うキャンセルは同日までに41施設で約9千人に拡大し、損失額は約1億3千万円に上る見込み。地震の発生から8日で1週間、被災地では避難所の環境悪化が危惧されており、県内の施設は震災の影響を受けながらも広域避難に協力を買って出ている。

 組合が7日に加盟施設へアンケートを実施したところ、回答した39施設のうち29施設が「被災者を受け入れ可能」とした。施設は富山市を中心に射水、砺波、南砺、魚津、黒部、上市、朝日の計8市町に立地する。

 組合によると今後、石川県から富山県に受け入れ要請があれば順次調整が進むとみられる。災害救助法に基づき、宿泊施設を避難所として活用した場合の費用は国庫負担となる見込み。

 県内の宿泊キャンセルは地震の発生後から増え続けている。強い揺れで設備が損傷し、営業休止を強いられている施設があるのに加え、余震が断続的に続いている影響で宿泊を控える動きが出ている。

 県内で甚大な被害が出た氷見市では2施設が休業しており、断水が解消されれば再開が見込める。富山市では富山エクセルホテル東急が施設内の漏水で14日までの休業を決め、15日以降も再開の見通しは立っていない。

  ●新年会は1700人

 組合のアンケートでは、新年会など日帰りの利用でもキャンセルが相次ぎ、少なくとも1700人分以上が利用を取りやめた。回答はまだ受け付けており、数字は増える可能性がある。被害報告では、建物の天井がはがれ、壁のひび割れなどが確認されたほか、温泉や井戸水が濁ったという回答もあった。

 坂井彦就理事長は人命救助や生活再建が最優先だとし、「まずは被災者が安心できる場所を協力できる範囲で提供したい」と強調。その上で「余震が落ち着けば、北陸に観光に来てもらえるよう、行政にも支援策を打ってもらいたい」と述べ、県に金融、誘客面の支援を求める考えを示した。

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