孤立救援 空から陸から 輪島、自衛隊ヘリで小松に搬送

 能登半島地震発生後、国道249号の寸断により輪島市内の外浦エリアで孤立していた被災者が5日、自衛隊ヘリによって救助され、空自小松基地に搬送された。被災者は小松市が受け入れる。この日は県が把握している2市2町21カ所の孤立集落全てに物資を運べる状況となり、孤立状態の解消も進んだ。馳浩知事は「孤立住民の対応は物資輸送と救助活動の両面作戦で取り組む」と述べた。

 同日午後、輪島市白米町の道の駅「千枚田ポケットパーク」付近に自衛隊機が着陸し、1人が助け出された。同日夕に開かれた県の災害対策本部員会議で馳知事が明らかにした。

 この日は午後3時までに珠洲市大谷町などの孤立集落が解消された。飯田重則危機管理監は、依然として救援を待っている集落にはヘリでの輸送や陸路による人力で物資を渡していると説明。政府は4日、被災地に派遣する自衛隊員を4600人に倍増していた。

 能登空港では、多数のひび割れが確認されていた滑走路で応急復旧工事に着手した。現在はヘリが離発着しているが、数日以内に自衛隊の航空機が利用可能となり、輸送能力が高まる。

 能登北部、中部地区の公立6病院の院外処方箋に基づいて金沢市内の薬局で調剤し、各病院へ配送する取り組みが始まった。建物の被害状況を確認する「応急危険度判定」は、4日に羽咋市以北の4市4町で877件を実施した。

 被災地の早期復旧に向け、県はふるさと納税の受け付けを専門サイトで始めた。

 能登町、珠洲市の漁船8隻が新潟県上越、糸魚川両市の沿岸に漂着したことも報告された。

  ●90代女性救出息子が守る

 全国から参集している緊急消防援助隊は4日に計18人を救助し、うち生存者は輪島市堀地区の90代女性1人だったと報告した。女性は倒壊した家屋の中で発見され、50代の息子が女性を守るような形で覆いかぶさっていたという。息子は死亡が確認された。救出は発災から約72時間後だったが、息子の体が保温効果となり、女性の生存につながった可能性があるという。

 陸海空の自衛隊統合任務部隊は5日、117人を救出した。95トンの給水を行い1千食を被災地に届けた。

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