【能登半島地震】のとじま水族館のイルカ、アザラシが福井県へ避難 越前松島水族館館長「恩を返したい」

 能登半島地震で被災したのとじま水族館(石川県七尾市)のイルカ2頭とアザラシ1頭が1月6日、福井県坂井市の越前松島水族館に避難した。松島水族館によると、3頭の健康状態に問題はない。松原亮一館長(54)は「(能登の)現場は人命第一にならざるを得ない。我々は動物を守るために協力したい」と話した。

 のとじま水族館は、電気以外のライフラインが停止。水の循環装置破損などでさらに環境悪化が予想されるとして3日、全国組織の日本水族館協会を通し協力を要請した。

 松島水族館は、ともに体長約2メートル、体重約100キロのカマイルカの雄2頭(11、13歳)と体長約150センチ、体重約80キロのゴマフアザラシの雄(14歳)を引き受けた。のとじま水族館からの動物受け入れは、いしかわ動物園(石川県能美市)に続き2園目。

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 6日、松島水族館のスタッフ5人がのとじま水族館へ向かい、現地で4トントラックに動物を載せた。同日午後3時20分ごろ現地を出発、同7時20分ごろに松島水族館に到着した。移動や環境変化によるストレスを抱えているため、当面展示はしない。

 「余震などで常に変化する状況のなか、1頭も死なせないとの思いで全国の水族館、動物園が動いている」と松原館長。被災動物の受け入れは初めてだが、1997年のナホトカ号重油流出事故では、松島水族館の動物がのとじま水族館にも避難した。松原館長は「能登ではスタッフも被災者で水や食料に困っている。動物を守り、少しでも安心して休めるよう協力し、その時の恩を返したい」と話した。

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