能登半島地震、岩手にできることは? 斎藤徳美名誉教授に聞く

「岩手県民の善意を届けるための窓口機能が県に求められる」と指摘する斎藤徳美名誉教授

 発生から8日で1週間となった能登半島地震は、いまだ被害の全容が見えず、インフラの機能不全で支援の手が届きにくい状況が続く。避難生活の長期化が見込まれる中、東日本大震災を経験した岩手県にできることは何か、岩手大の斎藤徳美名誉教授(地域防災学)に聞いた。

 (聞き手は報道部・小野寺隼矢)

 ―初動対応をどう見ているか。

 「3年前から群発地震が起きていたが、これほどの大災害になるとの予測は専門家の間でも見方が割れていた。だが、半島という地理的特性を差し引いても、現状把握の遅滞を見れば危機管理体制は不十分だったと映る。県や市町村、自衛隊、住民らの日常的な意識共有があれば、被害を軽減できた可能性がある」

 ―県は「応援本部」を設置し、支援ニーズの把握に動き出した。

 「震災では国内外から多くの善意が寄せられたが、物資の仕分けやボランティアの受け入れ調整に時間を要した。確立されたルートによるプッシュ型支援を除いては、不要な混乱を避け県民の多様な善意を適切かつ確実に届けるために、支援相談と現地調整を担う一元化した窓口としての機能が県に求められる」

 ―震災を経験した岩手にできることは何か。

 「本県には長引く避難生活における健康維持や心のケアなどノウハウの蓄積がある。県民レベルでは情報通信網が回復した段階でオンラインを活用し、被災住民に震災時の経験を伝えたり、悩みに寄り添う形の支援があってもいい」

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