「飲料水はもったいなくて使えない」避難所で発熱者続出も…感染症予防の手洗いも水が足りない【能登半島地震リポート】

最大震度7を観測し、168人が亡くなった(1月8日午後2時現在)能登半島地震。少なくとも70人が亡くなり、いまも多くの人が避難生活を送る石川県輪島市の避難所を取材すると、そこでは発熱を訴える人が後を絶たず、感染症の拡大が懸念されていました。

<山口駿平記者>
「いま、救助犬を連れた自衛隊による行方不明者の捜索が始まりました」

<自衛隊員>
「誰かいませんか」

輪島市では災害救助犬を使った自衛隊員による捜索が行われていました。輪島市では少なくとも70人が亡くなり、いまも多くの人が避難生活を強いられています。(8日午後4時現在)電気や水道などあらゆるライフラインが断たれていました。

<輪島市民>
Qこのポリタンクは水ですか?
「これはカラになった、使ったやつです。門前の方から輪島に帰ってくるときに湧き水が出ているところがあって、そこで調達したものですけど、いまないんですけど、じゃあ元の所まで行くかというとガソリンの問題があるので」

輪島市内のある避難所を訪ねると、こんな状況となっていました。

<山口駿平記者>
「こちらの避難所では発熱者が増加してきたため、急きょ発熱者のための部屋が設置されています」

発熱を訴える人が後を絶ちませんでした。

<TMAT 久保健一さん>
「いつもと違う生活環境で風邪をひかれたりとか、免疫が落ちたりとかして、熱が出たりとかいう患者さんがよく見受けられます」

避難所での感染症対策として欠かせないのが「手洗い」です。しかし、現実は想定とは程遠い状態にありました。

<避難者>
「飲料水を手洗いにはもったいなくて使えないのが状況です」
「水がないので手洗いができません、トイレに行ってきて消毒せずにそのまま戻られる方もいますよね。どんだけ自分が気をつけていてもこの狭い空間の中では感染はしますよね」

医療機関がトイレの清掃やアルコール消毒液の設置を徹底していましたが、肝心の水が足りず、感染症拡大への不安は拭えません。輪島市内に給水車を送り、支援をしてきた静岡市上下水道局も厳しい現状を把握しています。

<静岡市上下水道局職員>
「全国から給水活動の方で給水支援を行っているが、行けていない場所については、なかなか水を配れていない状況」

<井手春希キャスター>
「行政が掲げるマニュアルが実際の災害現場では現実に即さないこともあるということですか」

<山口駿平記者>
「積もった雪をかき集めて、トイレ用の水を確保している人もいました。水を始め、被災地では不足しているものがたくさんあります。そして、私たちは教訓として自分が住んでいる地域が断水したら、『何のための水をどこから調達するか』、日頃から考え、備えておく必要を改めて感じました」

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