就任1年目で2冠達成! 青森山田・正木昌宣監督の人物像を背番号「10」芝田玲が明かす “穏やかな正木さん”

胴上げに笑顔の正木昌宣監督(左) MF芝田玲(右)[写真:©超ワールドサッカー]

青森山田(青森)のMF芝田玲が、就任1年目にしてチームを“2冠”へと導いた正木昌宣監督(42)について語った。

8日、第102回全国高校サッカー選手権大会決勝の青森山田vs近江(滋賀)が国立競技場で行われ、青森山田は3-1と勝利。2大会ぶり4度目の選手権制覇を成し遂げた。

風格さえ感じさせる戦いぶりで近江を撃破した青森山田だが、今年度は常に順風満帆だったわけではない。夏の高校総体(インターハイ)で3回戦敗退…「敗退から2週間ほどは切り替えが難しかった」と語る選手もいたほどショッキングな出来事だったのだ。

そんな今年度の青森山田、長年チームを率い、当代屈指の強豪校まで押し上げた黒田剛監督(現:FC町田ゼルビア/J1)が昨年度限りで退任し、後任を仰せつかることとなったのが、コーチから内部昇格となった正木監督だ。

その正木監督としてみれば、指揮官として最初の大舞台となったインターハイこそ3回戦敗退も、高円宮杯U-18プレミアリーグ2023を制し、選手権も制覇。偉大なる“黒田時代”終焉直後の就任1年目にして、見事に2冠達成だ。

では、黒田監督から正木監督へとバトンタッチしたことで、チームに何か変化はあったのか。背番号「10」を背負って中盤からタクトを振るったMF芝田が、両監督の“違い”について明かした。

「黒田監督下では戦術面で『これをやれ』という指示があれば、それは必ず遂行しないといけませんでした。良い意味で“堅い”監督だったと思います」

「正木監督もそういった部分を継承していますが、少し戦術面での“自由度”が増した印象はあります。チームとしてのタスクの不履行に多少目を瞑っても『その選手の長所を活かしてあげよう』という監督ですね」

「もちろん選手たちともコミュニケーションをたくさんとってくれます。けど、僕たち選手としては『長所を出させてもらえる』ことを都合よく捉えることは決してせず、この1年間やってきました」

「正木さんの穏やかな雰囲気に甘えず、自らを引き締めるというか。そうやって緊張感が高まっていくと、今度は正木さんが選手たちを和ませてくれるんです。この循環ができて、いい感じに調和し、結果がついてくるようになったと思います」

2冠達成のウラには、温厚で穏やかな新指揮官と、雪国・青森で主体性を持ってサッカーに取り組む選手たちの、揺らぐことのない信頼関係があったのだ。

そんな正木監督、試合後の会見では「とてつもない結果を残してきた黒田さんの後任…黒田さんと同じような戦績を残した方は日本全国を見渡してもそうそうおらず、誰かに相談できるものではありませんでした」と、それなりに大きなプレッシャーがあったことを認める。

それでも「黒田さんと19年間一緒にやってきましたし、(コーチ時代も)黒田さんからはいろいろプレッシャーかけられてましたので(笑) のびのびできるようになったところもあります(笑)」と冗談を飛ばす場面も。MF芝田の言う、“穏やかな正木さん”を垣間見せた。

黒田監督から正木監督へとバトンタッチがうまくいった青森山田。今や、まごう事なき高校サッカー界の盟主だ。

© 株式会社シーソーゲーム