〈支え合ってともに 1.1大震災〉仲代さん、スタッフに励みの言葉 「生きていれば何とかなる」

仲代達矢さん

  ●能登演劇堂被災で休館

 能登半島地震を受け、七尾市中島町中島の能登演劇堂も建物が一部損壊、駐車場にはひび割れが発生し、休館を余儀なくされている。演劇堂の建設に深く関わった俳優仲代達矢さん(91)は、発災直後、スタッフに向け「生きていれば何とかなる」と音声メッセージを送信。いつ活動を再開できるか見通せないものの、関係者は戦争を体験し、命の尊さを知る仲代さんの言葉を励みに「演劇のまち」を必ず復活させようと決意を新たにしている。

  ●駐車場に亀裂

 スタッフによると、建物に大きな被害はなかったが、劇場内に設置してある照明などが落ちたほか、駐車場のコンクリートに大きな亀裂が入った。演出の目玉である舞台奥の大扉は今後、異常がないか専門の業者が点検する予定となっている。

 仲代さんは、地震が発生した1日の午後10時ごろにLINE(ライン)を通じて、スタッフ一人一人にメッセージを送った。約1分間の音声で、被災者の身を案じるとともに「一緒に頑張りましょう」「一緒に直しましょう」と激励した。

 能登演劇堂は仲代さんが主宰する劇団「無名塾」が旧中島町(現七尾市)で合宿を行ってきた縁で、同町が1995年に建設。昨年10、11月には国民文化祭の関連事業として「等伯-反骨の画聖-」(北國新聞社後援)が上演された。

 今年秋には市制20周年公演「肝っ玉おっ母と子供たち」が予定され、仲代さんは昨年末の会見で、主役として復帰することを明らかにし、「平和への願いを伝えたい」と意気込んでいた。

 演劇堂の直近の公演は、沢口靖子さんや生瀬勝久さんが出演する3月の「パートタイマー・秋子」。ただ、実施できるかどうかは未定で、演劇堂の関係者は「仲代さんの言葉を励みに、早く復旧できるよう今できることをやっていきたい」と話した。

  ●ムロツヨシさんエール 6年前に公演

 6年前に能登演劇堂で「muro式.10」を公演した俳優ムロツヨシさんは自身のSNSで石川県にいるスタッフと連絡を取り合い「できることを探しています」と明かし、平穏な日々が戻ることを祈った。

地震で被害を受け、当面の間休館となっている能登演劇堂=七尾市中島町中島
大きな亀裂が入った駐車場

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