伝統の技法活用“若狭塗”ギターはどんな音? 福岡県のギター職人とコラボ商品 福井県小浜市の事業者

兵左衛門と福岡県のギター職人がコラボして製作したギター

 福井県小浜市甲ケ崎で若狭塗箸などを製造する兵左衛門(浦谷剛人社長)は福岡県のギター職人とコラボした漆塗りギターを製作、福井県内で販売を始めた。国の伝統的工芸品に指定されている若狭塗の技術が生かされ、美しい見た目となっている。同社は「自社だけでなく若狭塗全体の知名度向上にもつながれば」と話している。

 福岡でエレキギターブランド「キャラメルズ・ギター・キッチン」を展開する片田タケシさんとのコラボ商品。今年、ギターの端材を使った箸を同社が製作した縁で実現した。

 片田さんがギターを製作し、兵左衛門が塗装を担当した。ギターが趣味という浦谷社長は「漆を塗り重ねることで経年劣化した塗装のメンテナンスが容易になる点や、伝統的な自然の塗料で健康被害もないなど(商談相手に)アピールできる」とビジネスチャンスを感じた。

 ボディーは2種類の漆を使用した赤と茶色のツートンカラー。ヘッドの模様には若狭塗の技法である「研ぎ出し」が使われている。また漆をすり込んで塗装する「すり漆」を活用し、塗装の厚みを抑えることで経年変化で漆が透け、木地の木目がより生きるという。また既存の漆塗りギターよりも音に伸びがあるという。

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 兵左衛門は「外国人からのメイドインジャパンの評価も高く、市場は大きい」(浦谷社長)とし、他のブランドとのコラボなど楽器業界への本格参入も意欲をみせている。

 価格は55万円。鯖江市のギター販売店「タビーズギター&ミュージック」で販売している。ギターケースと端材で作った若狭塗箸も付く。問い合わせは同店=電話0778(78)2202。

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