能登半島地震では「水」伊豆半島では「マグマ」 断層を滑りやすくする群発地震 南海トラフ地震の前、数十年に内陸直下地震が頻発

能登半島で最大震度7の大地震を引き起こしたメカニズムについて専門家は、プレートの水の存在と活断層との関係を指摘しています。心配される南海トラフ地震については、直接的な影響はないとみられますが、歴史を振り返ると関わりがないわけではないと話します。

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最大震度7を観測した能登半島地震。今回の地震のメカニズムについて、津波工学を専門とする静岡市にある常葉大学の阿部郁男教授に聞きました。

<常葉大学 阿部郁男副学長>
「地震というのは何かの力が加わることで断層がずれ動いて発生する。何の力が加わったのかというものの一つに、水の存在が指摘される」

要因の一つにあげられる「水の存在」。プレートの水がしみだして能登半島の下に移動し、岩盤を押し広げたり、断層を滑りやすくしたりして地震を誘発するといいます。

<常葉大学 阿部郁男副学長>
「静岡県の場合は、伊豆大島と伊豆半島の間でマグマが関与したとみられる群発地震が発生しているので、マグマなのか、水のような流体なのかは別にして、流動性の高いものが関連して群発地震が起こることは発生している」

静岡県内では、南海トラフ巨大地震が心配されていますが、今回の地震が影響することはあるのでしょうか。

<常葉大学 阿部郁男副学長>
「距離がものすごく離れていることで直接的な影響はないだろうと思う」

直接的な影響はないとみますが、南海トラフ地震の歴史を振り返ると、関わりがないわけではないと指摘します。

<常葉大学 阿部郁男副学長>
「南海トラフ巨大地震が起こる前の40年ぐらいの間に内陸直下で地震が頻発しているのは歴史上知られていることなので、これから南海トラフ地震に向かって地震活動が時々起きるのではないか」

道路の寸断などで支援の手が届いていない「孤立集落」。阿部教授は静岡県内でも起こりうる課題だと危機感を示します。

<常葉大学 阿部郁男副学長>
「伊豆半島も人口の減少や高齢化率が進んでいる状況。今回、能登半島でこの後、救助・救援活動がどう進められるのか、静岡県にとっても、ひとごとではないんじゃないか」

阿部教授は「南海トラフ地震の想定だけではなく、内陸部で起きる直下型地震など別の対策もイメージしておくことが大切」と語っていました。

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