工作船事件で被弾 巡視船「あまみ」退役 長崎・佐世保海保

退役した巡視船「あまみ」

 北朝鮮の工作船事件への対応など、約30年にわたり任務に従事してきた佐世保海上保安部(井上昭典部長)所属の巡視船「あまみ」(全長56メートル、230トン)が老朽化に伴い9日、退役した。
 「あまみ」は1992年に建造。2001年12月に鹿児島県・奄美大島沖で発生した工作船事件では、銃撃戦になり、100発以上の銃弾を受け、乗組員3人が負傷した。04年に同保安部に配属され、海上犯罪の取り締まりや人命救助などに当たってきた。
 退役式で井上部長は、能登半島地震の犠牲者へ弔意を示すとともに、羽田空港での日航機と海上保安庁の航空機による事故にも言及。「多くの方々にご迷惑とご心配をおかけし、おわび申し上げる」と述べた。野澤貴典船長は同船を「日本の安全、安心の歴史を築いた」と表現。「(船に対し)お疲れさまでしたと言ってあげたい」と労をねぎらった。
 同船の後継には唐津海上保安部から巡視船「まつうら」が今月13日付で配属される。

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