戦略会議が“人口半減”に提言 2100年に8000万人維持へ

「6278万」、この数字が一体何を示しているかといいますと、厚生労働省による2100年の日本の推計人口です。現在の1億2615万人から人口が半減するという試算が、去年の4月に公表されています。こうした急激な人口減少を解決しようと議論する人口戦略会議の中間報告が行なわれ、子どもを産みたいと思える環境づくりを進め、2100年に人口8000万人を目指すべきという提言が発表されました。

三村議長:「6300万人、これは現在のちょうど半分。地域社会に大きな影響を与えます。2100年というと相当遠い世界に見えますけども、次の世代、我々の孫あるいは子どもたちに残す未来、これに対して我々世代は責任があると」

人口戦略会議は民間企業の経営者や大学教授などが、少子化による人口減少課題について去年7月から議論を重ねてきたものです。

1月9日の報告では、現在の出生率だと年間100万人のペースで人口が減少していくとして、2100年の時点で「人口8000万人」を維持することを目標に提言がなされました。

増田副議長:「人口8000万人で人口を定常化させられないだろうかと。若年世代の所得向上・雇用改善、子育て支援の総合的な制度の構築と財源問題。そうした人への投資を大胆に進めていく」

会議では、若年世代が子どもを産みたいと思える環境をつくるべく、所得向上や多様なライフサイクルの選択が実現できる社会に向けた協議を続けていくということです。

本格的な”人口減少時代”の到来が叫ばれているわけですが、改めて現在公表されている日本の将来推計人口をみてみます。試算では一度も人口が増える年はなく、2056年に1億人を下回り、今から50年後となる2070年には8700万人、そして2100年に6278万人と、現在に比べて半減すると試算されています。

この人口減少は出生率の低さから起きると推計されていますが、こどもが減ることで将来的には高齢者の割合が増えることになるんです。総人口に占める高齢者の割合は現在では28.6%となっているものの、2100年には40%となり、世界で最も高い水準で高止まりすると試算されています。

街の人にも人口減少による"超高齢化社会”について意見を聞いてきました。

「そんな人口減っちゃうのかしら。人口増やすって難しいことじゃない?。政府が思っているような思惑通りには全然行かないじゃないかな」
「年寄りばかり増えて、見て行かなきゃいけない子どもたちが可哀相と思っています」
「生産性が落ちますよね。そうすると福利厚生とか社会福祉の方の費用がどんどん増して、税金も高くなるじゃないと思うが、そうするとなおさら結婚と子ども生むなんてことは考えられなくなって来ちゃう」

街からは不安の声があがりましたが、人口戦略会議でもこのまま対策を講じなければ労働力人口が減り社会保障などは破綻、さまざまな場面で選択肢が狭まる社会になると指摘しています。

そうした未来を招かないよう、会議ではある程度の減少はやむをえないとしつつも、2100年の時点で安定的で成長力のある「8000万人」の人口を目標に掲げました。具体的な策としては、一昨年の時点で1.26となっている1人の女性が生涯に産む子どもの数を示す「合計特殊出生率」を2060年までに2.07に回復させるべく、若年世代の所得向上・雇用の改善、年齢や環境に関わらず学業や就業で多様な選択ができる社会に見直す、などの戦略をたてていくべきだとしました。

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