本の付録は燻製!? 食品付きPR本で地域の魅力を発信 絹姫サーモンの生産現場も活性化

テレビ愛知

愛知県設楽町の特産品、絹姫サーモン。人手不足などで生産の現場は厳しさを増しています。そんな中で注目を集めているのが、1冊の本です。驚きの仕掛けで地域の魅力を発信する企業に密着しました。

絹姫サーモン丼

いけすの中をのぞいてみると、泳いでいたのは絹姫サーモンです。絹姫サーモンは品種改良で生み出された設楽町の特産品。地元の食堂では、「絹姫サーモン丼」を目当てに、多くの人が店を訪れます。

愛知県淡水養殖漁業協同組合 加納拓也さん

絹姫サーモンの養殖場で作業をしていたのは、加納拓也さんです。水揚げから選別、袋詰めまで、ほとんど1人で行っています。

――1人で行っているのは、生産者が不足しているからですか。

愛知県淡水養殖漁業協同組合 加納拓也さん:
「そうですね。仕事がなかなか厳しいです。活魚を運ぶ車に500キロ積むのに、全部手で積むので、相当力がいります」

特産品が廃れてしまう

内陸のいけすなどで魚の養殖を行う団体や個人の数は年々減少しています。絹姫サーモンの開発に携わった米花晃雄さんは、大きな懸念を抱いていました。

米花晃雄さん:
「高齢者問題、後継者不足ですね。高齢者になって後継者がいません。生産量が減ります。このままでは地元の特産品が廃れてしまいます」

米花さん、絹姫サーモンの魅力を広め、生産現場を活性化する必要性を感じていました。

「山奥に眠る絹姫サーモンに迫る」

絹姫サーモンに特化したPR本

そんな中、12月に一冊の本が発売されました。設楽町の伝統に生産の裏話、さらにはアレンジレシピまで。絹姫サーモンに特化したPR本ですが、実は驚きの秘密が。

そのとちギフト

さくらで燻して絹姫サーモンのうまみを閉じ込めた本格的な一品です。ワインとの相性も抜群とのこと。この食品付きPR本を手掛けたのは名古屋のスタートアップ企業「ピックスデザイン」です。地方の魅力を伝える「そのとちギフト」という取り組みなどを行っています。社長の松浦克彦さんに話を聞きました。

ピックスデザイン代表取締役 松浦克彦さん:
「かれこれこういう理由でこの地域のサーモンが育てられているんだね、という背景を含めて消費をしていただけます」

「厳しい現実を聞いた」松浦さん

松浦さんは米花さんら関係者から、絹姫サーモンを取り巻く厳しい現実を聞いたといいます。

松浦社長:
「シンプルにもったいないなと思いました。良いものがあるのに、それを伝えずに逆にどんどんそのあと衰退してしまうかもしれない。若い発想力を活用させていただきながら、新しい取り組みとして販売を一緒にやってみましょうと」

若い発想力を活用

松浦社長:
「発信が上手じゃないところが多く、つくることで精いっぱい。正直そういったところまで手が回るかといったら、生産することで大変です。我々はノウハウやリソースがあります。地域をさらに盛り上げたり、広げていったりするような取り組みを進めていきたいです」

PR本が地元の活性化につながる

SDGs・持続可能な開発目標の中には、「地域の魅力を広め生産現場の雇用創出や特産品の販促につなげること」が含まれています。

絹姫サーモンの開発に携わった米花さん、このPR本が地元の活性化につながると期待しています。

米花さん:
「養殖についてはこれからの次世代を担う人たち。これはなかなかやりたいと思ってもできないチャンスとその場所がなければできないので、興味を持っていただく方が増えたらありがたいなと思います」

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