〈1.1大震災〉全市町村に住宅支援拡大 県が独自制度、国は氷見のみ

専決処分した補正予算の概要を説明する新田知事=富山県庁

  ●「半壊」も対象

  ●過去最大112億円を専決処分

 富山県は12日、能登半島地震を受け、住宅被害に対応する県独自の制度を創設すると発表した。国の被災者生活再建支援制度は現時点で氷見市のみが適用されているが、他の14市町村でも同等の支援を受けられるようにする。被害状況や再建方法に応じて1世帯当たり最大300万円を支給するほか、国制度で対象外の半壊世帯にも支援金を用意する。同日、新制度を盛り込んだ過去最大となる総額112億2610万円の1月補正予算を専決処分した。

 国の被災者生活再建支援制度は、自然災害で住宅の全壊など一定規模の被害が認められた自治体に適用される。全壊(損害割合50%以上)は最大300万円、大規模半壊(40%台)は同250万円、中規模半壊(30%台)は同100万円が支給される。県内では9日に氷見市が適用された。

 県の独自制度では、氷見市以外の14市町村でも国制度と同様の支援メニューを用意。加えて被害要件も緩和し、全15市町村で半壊(損害割合20%台)でも最大100万円の支援金を受けられるようにする。補正予算に1億800万円を計上した。

  ●市町村の負担軽減

 12日に会見した新田八朗知事は、魚津市と入善町で観測された震度が基準を満たさず、災害救助法の適用から外れたことに触れ「被害は両市町も深刻で、全県的に及んでいる」と説明。法律によって国から支援金が支給される氷見市以外の市町村についても、市町村の負担を軽減するため、県のサポートが必要だと強調した。

 住宅が全壊・半壊した世帯に対する知事見舞金として880万円を計上。全壊の世帯に10万円、半壊の世帯に5万円を支給する。帰省していた輪島市と珠洲市で死亡した富山市内の2人の遺族への弔慰金として563万円を盛り込んだ。

 石川県への医療チーム「DMAT」、福祉チーム「DWAT」の派遣には4460万円を充てる。被災した受験生の大学入学共通テストに向けた宿泊費の助成には100万円を用意する。

 土木公共施設や農地農業用施設、漁港などの災害復旧工事に95億7700万円、小規模な県単独の復旧工事には11億1700万円を計上する。

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